一般病院において医療従事者に発生した結核院内感染 国立横浜東病院の場合

一般総合病院(国立横浜東病院)における結核院内感染(事故)の経緯と対策を報告した. 平成9年3月内科医師(28歳)の結核発病をきっかけに, 20歳代の看護婦20名にツ反を施行したが, 胸部X線は正常であった. 5月下旬うち16名に再びツ反を施行した. 11名は硬結20mm以上をともなう強い反応を示した. 院内に結核対策委員会を発足させ, INH予防内服を勧めることにした. 8名はついには応じたが, 3名は拒否し, 拒否した1名が7月中旬結核を発病した. 7月下旬全職員の定期外健診を施行し, 5名の発病者が発見された. 予防内服を拒否した他の2名も結核を発病, 計9名(医師1, 看護婦7, 検査...

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Published in医療 Vol. 52; no. 11; pp. 643 - 649
Main Authors 五月女, 直樹, 井澤, 豊春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.11.1998
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.52.643

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Summary:一般総合病院(国立横浜東病院)における結核院内感染(事故)の経緯と対策を報告した. 平成9年3月内科医師(28歳)の結核発病をきっかけに, 20歳代の看護婦20名にツ反を施行したが, 胸部X線は正常であった. 5月下旬うち16名に再びツ反を施行した. 11名は硬結20mm以上をともなう強い反応を示した. 院内に結核対策委員会を発足させ, INH予防内服を勧めることにした. 8名はついには応じたが, 3名は拒否し, 拒否した1名が7月中旬結核を発病した. 7月下旬全職員の定期外健診を施行し, 5名の発病者が発見された. 予防内服を拒否した他の2名も結核を発病, 計9名(医師1, 看護婦7, 検査技師1)の院内感染事故に発展した. 看護婦6名と医師1名は同一病棟に勤務, うち4名で結核菌培養が陽性であった. RFLP's分析により4名の結核菌は平成7年11月下旬同病棟に入院し8日間在院したGaffky陽性患者の結核菌と同一のDNA型を示し, この患者が感染源と判明した. この事故から, 患者を一般病棟に入院させる際には, 胸部X線をとり, G(0)を確認してから入院させること, 職員採用時にツ反を施行すること, 20歳代のツ反硬結20mm以上を示す者には予防投薬を考慮すべきことなどが学習された.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.52.643