秋田流・花酵母「AK-1」による清酒実地醸造試験 吟醸酒の製造に関する研究 (第2報)

1. AK-1酵母 (秋田流・花酵母) で総米100kgの中間規模吟醸酒醸造試験を行った結果, 発酵経過は協会9号酵母とほぼ同じく, カプロン酸エチルは約2倍量生産された。また, 低生産性も認められた。製成酒の官能的評価も良好であり, 吟醸酒用酵母として現場規模の製造に十分可能な酵母であることが認められた。 2. 秋田県内の9製造場でAK-1酵母の実地醸造試験を行った結果, AK-1酵母の特性である高カプロン酸エチル生産性は, 大吟醸タイプと吟醸タイプの場合で, 協会9号醸母に較べ明らかに差異が認められた。また低生酸性は, 大吟醸タイプでわずかながら差異が認められた。 3. AK-1酵母の醪中...

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Published in日本醸造協会誌 Vol. 89; no. 11; pp. 906 - 912
Main Authors 高橋, 仁, 斎藤, 久一, 渡邉, 誠衛, 石川, 雄章, 田口, 隆信, 石川, 京子, 岩野, 君夫, 中田, 健美, 佐無田, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本醸造協会 15.11.1994
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ISSN0914-7314
2186-4012
DOI10.6013/jbrewsocjapan1988.89.906

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Summary:1. AK-1酵母 (秋田流・花酵母) で総米100kgの中間規模吟醸酒醸造試験を行った結果, 発酵経過は協会9号酵母とほぼ同じく, カプロン酸エチルは約2倍量生産された。また, 低生産性も認められた。製成酒の官能的評価も良好であり, 吟醸酒用酵母として現場規模の製造に十分可能な酵母であることが認められた。 2. 秋田県内の9製造場でAK-1酵母の実地醸造試験を行った結果, AK-1酵母の特性である高カプロン酸エチル生産性は, 大吟醸タイプと吟醸タイプの場合で, 協会9号醸母に較べ明らかに差異が認められた。また低生酸性は, 大吟醸タイプでわずかながら差異が認められた。 3. AK-1酵母の醪中の, AACTase活性とエステラーゼ活性を調べた結果, 両活性は協会9号酵母に較べ高く, このことが高カプロン酸エチル生成の1つの理由であり, セルレニン耐性株とは異なる株であった。 4. 酵母集団として10回植え継ぎ株の高カプロン酸エチル生産性と, 泡無し性について性質の安定性を調べた結果, 10世代まで安定していることが確認できた。 終わりに臨み, 快く試料の採取や試験醸造に御協力してくださいました秋田県の各製造場の方々に厚く感謝いたします。
ISSN:0914-7314
2186-4012
DOI:10.6013/jbrewsocjapan1988.89.906