経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー (TEM) による直腸癌の治療

27例の直腸癌に対し, 直径4cmの手術用直腸鏡を用いて行う経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー (TEM) を施行し, 臨床的検討を行った.対象は早期直腸癌20例と進行癌7例であり, 姑息的TEMも含まれていた.腫瘍の大きさは最大8.5cm, 平均3.1cmであった.一括切除となったものは92.6%であり, 断端腫瘍細胞陽性となったものは3.7% (進行癌1例のみ) であった.平均手術時間は81分であり, 術中術後に重篤な合併症は認めなかった.ほとんどの例で疼痛の訴えはなく, 術後第1病日から歩行が可能であった.低位前方切除術を3例に, 腹会陰式直腸切断術を1例に追加した.術後経過観察期間は...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 950 - 954
Main Authors 疋島, 一徳, 渡辺, 洋宇, 大村, 健二, 春原, 哲之, 亀水, 忠, 金平, 永二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.1997
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.30.950

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Summary:27例の直腸癌に対し, 直径4cmの手術用直腸鏡を用いて行う経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー (TEM) を施行し, 臨床的検討を行った.対象は早期直腸癌20例と進行癌7例であり, 姑息的TEMも含まれていた.腫瘍の大きさは最大8.5cm, 平均3.1cmであった.一括切除となったものは92.6%であり, 断端腫瘍細胞陽性となったものは3.7% (進行癌1例のみ) であった.平均手術時間は81分であり, 術中術後に重篤な合併症は認めなかった.ほとんどの例で疼痛の訴えはなく, 術後第1病日から歩行が可能であった.低位前方切除術を3例に, 腹会陰式直腸切断術を1例に追加した.術後経過観察期間は最長3.1年, 平均1.1年であり, 早期癌症例は全例無再発である.進行癌に対して姑息的にTEMを行った例のうち, 1例で他病死を, 1例で局所再発を認めた.TEMにより早期直腸癌の一括切除や進行癌の姑息的切除が低侵襲で安全に行える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.950