同種造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス (CMV) 感染の検討

同種幹細胞移植後に定期的にCMV抗原血症を測定し, CMV感染の頻度と陽性例の治療開始時期および治療法について検討した.対象は1996年11月より98年7月までに移植を施行した15例である.移植後20-49日 (中央値29) に15例中7例 (46.7%) が陽性となり, 5例 (33.3%) に感染症が発症した.陽性7例はいずれも非血縁あるいはHLA不一致移植で, 内6例で抗胸腺細胞グロブリン (ATG) が使用されていた.陽性細胞検出後5例は直ちにganciclovir (GCV) にて治療開始したが, 2/30万WBCsと少数陽性の2例は経過観察としたところ, 一週間以内におのおの15,...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 13; no. 3; pp. 151 - 157
Main Authors 藤岡, 憲一郎, 山崎, 桜子, 松田, 基, 渡辺, 由佳, 後藤, 裕明, 船曳, 哲典, 藤井, 久紀, 生田, 孝一郎, 佐々木, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.06.1999
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.13.151

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Summary:同種幹細胞移植後に定期的にCMV抗原血症を測定し, CMV感染の頻度と陽性例の治療開始時期および治療法について検討した.対象は1996年11月より98年7月までに移植を施行した15例である.移植後20-49日 (中央値29) に15例中7例 (46.7%) が陽性となり, 5例 (33.3%) に感染症が発症した.陽性7例はいずれも非血縁あるいはHLA不一致移植で, 内6例で抗胸腺細胞グロブリン (ATG) が使用されていた.陽性細胞検出後5例は直ちにganciclovir (GCV) にて治療開始したが, 2/30万WBCsと少数陽性の2例は経過観察としたところ, 一週間以内におのおの15, 68/30万WBCsと増加した.また, GCVが無効であった3例はfoscarnet (FOS) にて軽快した.移植後早期の抗原血症陽性例においては, 陽性細胞数にかかわらず直ちに治療を開始すべきであり, GCV無効例ではFOSを使用すべきと思われた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.13.151