大都市圏の自治体によるコミュニティビジネス振興施策の考察 関東地方自治体アンケート調査の結果分析を中心として
本稿は,大都市圏の自治体による,コミュニティビジネス振興施策について検討することを目的とする。少子高齢化の急速な進展が地域経済の縮小に拍車をかける厳しい現状において,地域経済を維持発展させるためには,利潤の拡大を最優先にした企業の振興や誘致などと併せ,コミュニティに活動基盤を置き,地域の経済と生活の活性化に取り組む事業の促進が求められる。そのため,収益目的と公益目的の両方の実現が期待できるコミュニティビジネスの役割が重要となる。 コミュニティビジネスの活用による地域活性化は,地方圏に止まらず,社会課題解決の要請が高まる大都市圏においても重要な方策になると考えられる。そこで,代表的な大都市圏を擁...
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Published in | 会計検査研究 p. 2501 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
会計検査院
2025
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ISSN | 0915-521X 2436-620X |
DOI | 10.51016/kaikeikensa.2501 |
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Summary: | 本稿は,大都市圏の自治体による,コミュニティビジネス振興施策について検討することを目的とする。少子高齢化の急速な進展が地域経済の縮小に拍車をかける厳しい現状において,地域経済を維持発展させるためには,利潤の拡大を最優先にした企業の振興や誘致などと併せ,コミュニティに活動基盤を置き,地域の経済と生活の活性化に取り組む事業の促進が求められる。そのため,収益目的と公益目的の両方の実現が期待できるコミュニティビジネスの役割が重要となる。 コミュニティビジネスの活用による地域活性化は,地方圏に止まらず,社会課題解決の要請が高まる大都市圏においても重要な方策になると考えられる。そこで,代表的な大都市圏を擁する関東地方に着目し,基礎自治体(市区町村:「自治体」とする)へのアンケート調査により,コミュニティビジネスに関する振興施策や連携・協働などの実態を確認した。 コミュニティビジネス振興施策の対象は幅広いことから,多様な部局を包摂する柔軟な連携体制を構築することが必要になる。施策については,コミュニティビジネスとしての自立性・継続性が必要であることを前提としつつ,側面的な支援施策が求められる。合わせて,行政サービスを効率的で創造的なものにしていくため,コミュニティビジネスとの連携・協働が求められる。 今後は,市町村合併により広域化した自治体エリアの中での,構成地域の個性や実情に即したきめ細かな課題解決におけるコミュニティビジネスの役割の解明や活動促進のための方策,さらには地域経済の拡大効果が期待されるソーシャルビジネスの振興も視野に入れた方策などが求められる。 |
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ISSN: | 0915-521X 2436-620X |
DOI: | 10.51016/kaikeikensa.2501 |