第9回心臓性急死研究会 右脚ブロックと右側胸部誘導ST上昇を示す(RB-ST型)心電図の頻度 岩手県の小・中・高校生の集団検診所見の検討

【背景】1992年,Brugadaらは特発性心室細動例の中に,通常時の心電図上右脚ブロックとST上昇(RB-ST型)を伴う一群のあることを報告した.心臓性急死研究会の特発性心室細動調査委員会は,全国34施設のRB-ST型63症例(平均年齢は50歳最年少例は27歳)を登録して,心室細動や意識消失発作の既往例にはRB-ST型のうちcoved型(RB-ST/coved型)波形が有意に多いと報告している.しかし,特定の地域の学童を対象とするRB-ST型波形の出現頻度を調査した報告は少ない.【方法】平成4年から6年の学校検診(小学1年,4年,中学1年高校1年)時に,本県予防医学協会で記録された163,1...

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Published in心臓 Vol. 29; no. Supplement5; pp. 153 - 156
Main Authors 籏, 義仁, 白戸, 隆洋, 中居, 賢司, 千葉, 直樹, 堀田, 一彦, 照井, 克俊, 伊藤, 明一, 今野, 拓夫, 平盛, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 20.12.1997
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.29.Supplement5_153

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Summary:【背景】1992年,Brugadaらは特発性心室細動例の中に,通常時の心電図上右脚ブロックとST上昇(RB-ST型)を伴う一群のあることを報告した.心臓性急死研究会の特発性心室細動調査委員会は,全国34施設のRB-ST型63症例(平均年齢は50歳最年少例は27歳)を登録して,心室細動や意識消失発作の既往例にはRB-ST型のうちcoved型(RB-ST/coved型)波形が有意に多いと報告している.しかし,特定の地域の学童を対象とするRB-ST型波形の出現頻度を調査した報告は少ない.【方法】平成4年から6年の学校検診(小学1年,4年,中学1年高校1年)時に,本県予防医学協会で記録された163,110人(男84,156人,女78,954人)の心電図を対象として,rSR'型右脚ブロックとRB-ST/coved型波形の頻度を検討した.【結果】324例(0.2%)にrSR'型右脚ブロックを認めたが,RB-ST/coved型波形を示したのは1例(0.0006%)であった.この1例は7歳の男子で,心疾患や意識消失発作の既往や突然死の家族歴はなかった.アンケート調査で「気を失ったことがある」とした357例(0.2%)と,対象期間中に突然死した5例にRB-ST/coved型波形を示す例はなかった.【総括】小・中・高校生でのRB-ST/coved型波形の頻度は成人例に比べて低値であり,RB-ST/coved型波形の成因を考える上で興味ある所見であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.29.Supplement5_153