相談支援の人的資源と財政 社会保障における「相談支援ワーカー」の統計的把握

日本の社会保障政策において,相談支援への注目が集まっている。本稿では,貧困と就労・介護・障害・保健医療・子ども・女性の6つの領域における19の公的な相談支援業務に従事する人々を「相談支援ワーカー」と呼び,その人的資源や財政の規模を統計資料や行政資料によって検証した。その結果,(1)相談支援ワーカーの総数は約42万人であり,これは医師数や保育人材数などと比較しうる規模であること,(2)領域別にみると介護領域の相談支援ワーカーが特に多い一方,児童福祉司やスクールソーシャルワーカーなどの数は少ないこと,(3)ワーカーあたりの利用者数・利用件数は領域ごとに大きな違いがあり,さらなる定量的な把握・比較が...

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Published in会計検査研究 p. 2503
Main Author 安藤 道人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 会計検査院 2025
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ISSN0915-521X
2436-620X
DOI10.51016/kaikeikensa.2503

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Summary:日本の社会保障政策において,相談支援への注目が集まっている。本稿では,貧困と就労・介護・障害・保健医療・子ども・女性の6つの領域における19の公的な相談支援業務に従事する人々を「相談支援ワーカー」と呼び,その人的資源や財政の規模を統計資料や行政資料によって検証した。その結果,(1)相談支援ワーカーの総数は約42万人であり,これは医師数や保育人材数などと比較しうる規模であること,(2)領域別にみると介護領域の相談支援ワーカーが特に多い一方,児童福祉司やスクールソーシャルワーカーなどの数は少ないこと,(3)ワーカーあたりの利用者数・利用件数は領域ごとに大きな違いがあり,さらなる定量的な把握・比較が必要なこと,(4)本稿が分析対象とした相談支援ワーカーの総人件費は約1.6兆円と試算され,これは日本の社会支出の総額の約1.2%,GDP(国内総生産)の約0.3%に相当することなどが明らかとなった。
ISSN:0915-521X
2436-620X
DOI:10.51016/kaikeikensa.2503