パーキンソン病および多発性脳梗塞患者の陳旧性顎関節脱臼に対し全身麻酔下で観血的顎関節整復術を行った症例
パーキンソン病および多発性脳梗塞の既往を持つ陳旧性顎関節脱臼に対し, 徒手的整復が困難だったため全身麻酔下で観血的顎関節整復術を行い, 術後義歯による咬合の回復を行った症例を報告する. 患者は67歳男性. 59歳頃からたびたび顎関節脱臼を起こしていたが近医にて整復可能であった. 平成11年12月中旬, あくび時に脱臼を起こしたが疼痛を伴わなかったためそのまま放置し, 2週間後近医を受診した時には意識下での整復は不可能となっていた. 自発痛ないため半年以上経過した後, 咀嚼障害改善を主訴に当院を受診した. 受診時, 閉口不能および嚥下障害を認め口腔内は臼歯部歯牙の欠損を認めた. またレントゲンで...
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Published in | 有病者歯科医療 Vol. 11; no. 1; pp. 41 - 46 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
30.04.2002
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Subjects | |
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ISSN | 0918-8150 1884-667X |
DOI | 10.11255/jjmcp1992.11.41 |
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Summary: | パーキンソン病および多発性脳梗塞の既往を持つ陳旧性顎関節脱臼に対し, 徒手的整復が困難だったため全身麻酔下で観血的顎関節整復術を行い, 術後義歯による咬合の回復を行った症例を報告する. 患者は67歳男性. 59歳頃からたびたび顎関節脱臼を起こしていたが近医にて整復可能であった. 平成11年12月中旬, あくび時に脱臼を起こしたが疼痛を伴わなかったためそのまま放置し, 2週間後近医を受診した時には意識下での整復は不可能となっていた. 自発痛ないため半年以上経過した後, 咀嚼障害改善を主訴に当院を受診した. 受診時, 閉口不能および嚥下障害を認め口腔内は臼歯部歯牙の欠損を認めた. またレントゲンで下顎頭の位置は関節結節を越え前方位をとっていた. 意識下での整復処置を行ったが不可能であったため全身麻酔下での整復を計画した. プロポフォール, フェンタニル, ベクロニウムで導入し, 維持は笑気-酸素-プロポフォールで行った. 全身麻酔下においても徒手的整復は不可能であり観血的整復術へと移行した. 術後2週間の開口制限とさらに2週間の開口抑制を行い, その後義歯による咬合回復を行った. 脳梗塞の再発やパーキンソン病の増悪はなく, また1年以上経過した現在でも再脱臼を起こさず経過している. |
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ISSN: | 0918-8150 1884-667X |
DOI: | 10.11255/jjmcp1992.11.41 |