慢性脳循環不全症における脳循環代謝およびMRI所見に関する研究

慢性脳循環不全症とは新しく提唱された診断名で脳の循環障害に起因する病態である.この病態を詳細に検討するため慢性脳循環不全症 (CCCI) 群60例, 動脈硬化 (AS) 群44例, 対照 (Co) 群40例を対象に超音波ドップラー法, ポジトロンCT (PET), MRIを施行した.その結果, 1) 総頸動脈血流量は加齢とともに低下した.年代ごとの比較ではCo群に比べCCCI群の低下が高度であり, AS群がこれに次いだ.2) PETでは, CCCI群はCo群に比し大脳皮質の全ての部位で脳血流量と脳酸素代謝率の有意な低下がみられた.3) MRIT2強調画像で認められる白質高信号域の程度は加齢とと...

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Published in北関東医学 Vol. 45; no. 6; pp. 489 - 502
Main Author 近藤, 進
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.11.1995
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ISSN0023-1908
1883-6135
DOI10.2974/kmj1951.45.489

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Summary:慢性脳循環不全症とは新しく提唱された診断名で脳の循環障害に起因する病態である.この病態を詳細に検討するため慢性脳循環不全症 (CCCI) 群60例, 動脈硬化 (AS) 群44例, 対照 (Co) 群40例を対象に超音波ドップラー法, ポジトロンCT (PET), MRIを施行した.その結果, 1) 総頸動脈血流量は加齢とともに低下した.年代ごとの比較ではCo群に比べCCCI群の低下が高度であり, AS群がこれに次いだ.2) PETでは, CCCI群はCo群に比し大脳皮質の全ての部位で脳血流量と脳酸素代謝率の有意な低下がみられた.3) MRIT2強調画像で認められる白質高信号域の程度は加齢とともに, またCCCI群, AS群, Co群の順に進行していた.4) この白質高信号域の進行と関連して総頸動脈血流量, 脳血流量が低下した.これらのことより脳の灌流動脈の動脈硬化が進行すると禰慢性に脳血流と脳代謝が低下して, 自覚症状を伴った慢性脳循環不全症の病態が形成されることが示された.
ISSN:0023-1908
1883-6135
DOI:10.2974/kmj1951.45.489