1.ラット局所脳虚血モデルにおけるanti-rat P-selectin monoclonal抗体・ARP 2-4投与の影響

ラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを作成し,anti-rat P-selectin monoclonal抗体・ARP2-4投与による脳虚血障害への影響を,局所脳血流(rCBF),脳水分含量,梗塞サイズ,CDlla,CD18およびHSP72における免疫組織化学,そしてアポトーシスの関与についてはTUNEL法により検討した.rCBFの測定では,閉塞直前のrCBFはVehicle群(21.2±8.4;n=5)とARP2-4投与群(18.9±6.8%;n=5)の問に有意差はみられなかった.しかし閉塞8時間後では,Vehicle群(24.2±11.8%;n=5)と比較しARP2-4投与群(55.4±...

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Published in脳卒中 Vol. 20; no. 6; pp. 691 - 697
Main Authors 木村, 勝彦, 鈴木, 仁志, 阿部, 康二, 東條, 伸一郎, 北川, 久, 水柿, 道直, 糸山, 泰人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 25.12.1998
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.20.691

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Summary:ラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを作成し,anti-rat P-selectin monoclonal抗体・ARP2-4投与による脳虚血障害への影響を,局所脳血流(rCBF),脳水分含量,梗塞サイズ,CDlla,CD18およびHSP72における免疫組織化学,そしてアポトーシスの関与についてはTUNEL法により検討した.rCBFの測定では,閉塞直前のrCBFはVehicle群(21.2±8.4;n=5)とARP2-4投与群(18.9±6.8%;n=5)の問に有意差はみられなかった.しかし閉塞8時間後では,Vehicle群(24.2±11.8%;n=5)と比較しARP2-4投与群(55.4±11.7%;n=5,p<0.02)においてrCBFの改善が認められた.脳水分含量の結果では,Vehicle群(85.6±1.1%,n=6,p<0.01)と比べARP2-4投与群(81.8±2.0%,n=8,p<0.002)では有意な水分含量の減少を示した.梗塞サイズのANOVAによる比較検討では,Vehicle群と比べARP2-4投与群において梗塞範囲の有意な減少が認められた.CDlla,CD18およびHSP72における免疫組織化学では,CDIla,CD18共にVehicle群ではMCA領域において好中球の浸潤が認められたが,ARP2-4投与群で著しい減少がみられた.また,HSP72蛋白発現は,Vehicle群においてMCA領域の神経細胞に発現がみられた.しかしARP2-4投与群においてその発現数は有意な減少を示した.TUNEL法によるアポトーシスの関与については,Vehicle群の,MCA領域に染色が認められた.その数は特にMCA領域周辺部で著しかったが,ARP2-4投与群では有意な減少を示した.これらの結果よりARP2-4は脳虚血障害に対する脳保護効果が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.20.691