尿路結石症の発生原因に対する内分泌学的検討 第III報 カルシウム結石症におけるカルシウム代謝と上皮小体機能について

尿路結石症の原因の1つにCa代謝異常があるとの考えの下に, Ca代謝と関係深い電解質並びに内分泌の両面から, 結石症のCa代謝について調べた. その結果, (1) 結石群 (男性のみ109例) の尿中Ca排泄量 (U-Ca) は158±98mg/dayで対照群 (男性のみ37例) の134±77mg/dayに比べ多かつた. そこで対照群 (CG) の平均±2SDの値の288mg/dayをもつて結石群を高Ca尿症群 (HC)(16例) と正常Ca尿症群 (NC)(93例) の2群に分け, 検討を進めた. (2) HCでは尿 cyclic AMP (U-cAMP), 血清PTH値, 及び%TR C...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 71; no. 11; pp. 1335 - 1348
Main Author 郡, 健二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.11.1980
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.71.11_1335

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Summary:尿路結石症の原因の1つにCa代謝異常があるとの考えの下に, Ca代謝と関係深い電解質並びに内分泌の両面から, 結石症のCa代謝について調べた. その結果, (1) 結石群 (男性のみ109例) の尿中Ca排泄量 (U-Ca) は158±98mg/dayで対照群 (男性のみ37例) の134±77mg/dayに比べ多かつた. そこで対照群 (CG) の平均±2SDの値の288mg/dayをもつて結石群を高Ca尿症群 (HC)(16例) と正常Ca尿症群 (NC)(93例) の2群に分け, 検討を進めた. (2) HCでは尿 cyclic AMP (U-cAMP), 血清PTH値, 及び%TR Ca++はCGやNCに比べ低く, %TRPは逆に著しく高かつた. これよりHCでは何らかの機序で上皮小体機能が抑制されているものと考えられた. (3) CGではU-cAMPとU-Caとの間に負の相関関係があつたが, NCでは相関はなかつた. そこでNCの個々の症例において3日連続測定したこの両排泄量の関係からNCは次の3型に分類し得た. 第I型は両排泄量が対照群同様, 負の傾きを示す群で, この症例 (81例) だけでは両排泄量は負の相関があり, この群の上皮小体はCa値の変化に対し反応すると考えられ, 一方第II型は上皮小体機能亢進症のように正の傾きを示す群で, この症例 (7例) だけでは正の相関を認め, 上皮小体機能に主体性があると推察された. 第III型 (5例) はいずれにも属さない群であつた. (4) 第I型では%TRCaとU-Caとは強い負の相関があつたが, 第II型ではなかつた. (5) 腎組織内c-AMP濃度はU-cAMPやU-Caとの間に各々正及び負の相関があつた. また骨皮質内濃度は髄質より高値であつた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.71.11_1335