Acetylspiramycin に関する研究 II. Acetylspiramycin 組成分の生物活性

小さい順に, すなわち疎水性の低い順にF1, F2-F7とし各Fractionについて, 1) 抗菌力 (MIC), 2) Bacillus subtilis ATCC 6633 による抗菌力価, 3) Streptococcus pneumoniae III, あるいはStaphylococcus aureus SMITH によるマウス感染治療効果, 4) マウス腹腔内投与による急性毒性 (LD50), 5) チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞 (CHL), ウシ肺動脈内皮細胞 (CPAE), ラット肝細胞に対する細胞毒性を検討した。その結果以下のことが明らかになった。 1.F1及び4...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 43; no. 9; pp. 1521 - 1529
Main Authors 市川, 俊司, 白幡, 公勝, 佐藤, 清, 葛谷, 幸雄, 周藤, 勝一, 佐野, 浩, 出口, 隆志, 北, 克則, 山口, 和夫, 高橋, 恵一, 近藤, 明, 山下, 錦也, 中谷, 正, 水野, 左敏, 鈴木, 秀幸, 池上, 二郎, 西家, 靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.09.1990
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.43.1521

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Summary:小さい順に, すなわち疎水性の低い順にF1, F2-F7とし各Fractionについて, 1) 抗菌力 (MIC), 2) Bacillus subtilis ATCC 6633 による抗菌力価, 3) Streptococcus pneumoniae III, あるいはStaphylococcus aureus SMITH によるマウス感染治療効果, 4) マウス腹腔内投与による急性毒性 (LD50), 5) チャイニーズハムスター肺由来線維芽細胞 (CHL), ウシ肺動脈内皮細胞 (CPAE), ラット肝細胞に対する細胞毒性を検討した。その結果以下のことが明らかになった。 1.F1及び4 ″-AcetylspiramycinであるF2の生物活性挙動が他のFractionと大きく異なっていた。F1は最も低い力価492μg (力価) /mg, F2は最も高い2,040μg (力価) /mgを示し, これのLD50値はこの高い力価に対応するように最も低い値692mg/kgを示した。一方, F2のマウス感染治療効果はF1に次いで低いことが分かった。なお, F1のLD50値は1,200mg/kgでASPMとほぼ同程度であった。 2.F3, F4, F5, F6の抗菌力価は1,165μg (力価) /mg, 1,266μg (力価) /mg, 1,374μg (力価) /mg, 1,530μg (力価) /mgとRtが大きくなるに従つて, つまりこれら化合物の疎水性が増すに従って高くなるが, 最も疎水性の大きいF7がF1の次に低い力価1,085μg (力価) /mgを示し, 疎水性と力価の関係の連続性はF7, つまり3。Propionyl, 3″, 4 ″-diacetylspiramycinで途切れる。これは3位のOH基が未置換で4″ 位のOH基だけがAcetyl化されたF2が最も高い抗菌力を示すことと対照的であった。F3, F4, F5のLD50値は943-949mg/kgとほぼ同じ値を示し, F6, F7は1,430mg/kg以上の低い毒性を示した。 3.細胞レベルでの毒性と各Fractionの疎水性との間に相関性があり, 疎水性が大きくなるに従って毒性が高くなる。一方, in vivoでの毒性 (LD50) との関連についてみるとin vitroの毒性とは逆の相関にあり薬動力学的解明が待たれる。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.43.1521