上唇粘膜に発生した腺房細胞癌の1例と文献的考察
腺房細胞癌は唾液腺に発生するまれな腫瘍であり, 全耳下腺腫瘍の2~4%を占める。 上唇粘膜に発生した腺房細胞癌の1例を報告し, 文献的考察を行った。 44歳の男性が右側上唇の無痛性腫脹を主訴として当科を受診した。局所のリンパ節腫脹は認められなかった。腫瘍は初診時に約20×20mmの大きさであり, 病理組織学的には腺房細胞癌であった。 全身麻酔下に, 腫瘍を口腔内より根治的切除し, 分層植皮にて再建した。術後, 再発および転移は認めていない。 1955年から1991年までの, 日本での文献では54例の小唾液腺由来の腺房細胞癌が認められた。好発部位は口蓋 (19例) であった。次いで, 臼後三角部...
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| Published in | 日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 3; no. 2; pp. 256 - 266 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
15.12.1991
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| Subjects | |
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| ISSN | 0915-5988 1884-4995 |
| DOI | 10.5843/jsot.3.256 |
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| Summary: | 腺房細胞癌は唾液腺に発生するまれな腫瘍であり, 全耳下腺腫瘍の2~4%を占める。 上唇粘膜に発生した腺房細胞癌の1例を報告し, 文献的考察を行った。 44歳の男性が右側上唇の無痛性腫脹を主訴として当科を受診した。局所のリンパ節腫脹は認められなかった。腫瘍は初診時に約20×20mmの大きさであり, 病理組織学的には腺房細胞癌であった。 全身麻酔下に, 腫瘍を口腔内より根治的切除し, 分層植皮にて再建した。術後, 再発および転移は認めていない。 1955年から1991年までの, 日本での文献では54例の小唾液腺由来の腺房細胞癌が認められた。好発部位は口蓋 (19例) であった。次いで, 臼後三角部 (9例) , 口唇 (7例) , 頬粘膜 (7例) , その他 (12例) に発生していた。文献例による再発率は21.6%であった。 |
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| ISSN: | 0915-5988 1884-4995 |
| DOI: | 10.5843/jsot.3.256 |