国立病院群におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の検出状況と院内感染防止対策の実態 院内感染防止対策の実態―(第2報)国立病院共同研究班による全国調査

全国の国立病院, 療養所, 計250施設を対象に, 第1報のMRSA検出状況の調査と同時に, 院内感染防止対策の実態についてもアンケート調査を行った. 182施設(73%)より返送された回答の集計分析から次のような実態が明らかになった. (1) 院内感染対策委員会は国立病院(国病)群(83施設)の78施設(94%), 療養所群(99施設)の73施設(73%)で設置されており, その151施設のうち134施設(89%)は病院独自の院内感染防止対策のマニュアルを作成していた. (2) MRSA検出患者のあった144施設と患者のなかった5施設の計149施設でMRSAについて討議した会合(複数回答)を...

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Published in医療 Vol. 47; no. 2; pp. 126 - 133
Main Author 池上, 信子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.02.1993
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.47.126

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Summary:全国の国立病院, 療養所, 計250施設を対象に, 第1報のMRSA検出状況の調査と同時に, 院内感染防止対策の実態についてもアンケート調査を行った. 182施設(73%)より返送された回答の集計分析から次のような実態が明らかになった. (1) 院内感染対策委員会は国立病院(国病)群(83施設)の78施設(94%), 療養所群(99施設)の73施設(73%)で設置されており, その151施設のうち134施設(89%)は病院独自の院内感染防止対策のマニュアルを作成していた. (2) MRSA検出患者のあった144施設と患者のなかった5施設の計149施設でMRSAについて討議した会合(複数回答)を調べると, 75%は感染防止対策委員会で, 40%は婦長会議, 35%は診療会議, 24%は管理会議で討議しており, 病棟間, 病院全体の問題として討議した施設は多くない傾向がみられた. (3) MRSA感染防止対策, および抗生剤の適正使用について医療従事者への教育は, 182施設のうち前者は106施設(58%), 後者は66施設(36%)で, 不定期に実施されていた. (4) 医療従事者の鼻腔, 咽頭腔のMRSA検査は, 国立病院, 療養所(182施設)のうち58施設(32%)で実施されており, 45施設から検査成績が報告された. 28施設で医療従事者よりMRSAが検出され, そのMRSA検出率は0.5~25%であった. (5) 病院環境の清浄化が不十分であることが明らかになった. 病棟内の物品表面の細菌汚染を調べる拭き取り検査は182施設のうち68施設(37%)で実施され, その30施設(44%)でMRSAが検出された. 空中浮遊菌検査は182施設のうち50施設(28%)で実施され, その15施設(30%)でMRSAが検出されていた. 易感染性患者数が増加する医療施設が多くなる現状では, 病院内環境を常に清浄に維持する努力が必要である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.47.126