人工関節全置換術術後の満足度調査 アンケート調査

【はじめに】  人工関節全置換術は、インプラントの耐久性向上や再置換における手術手技の発達などにより、患者が年々増加傾向にある。当院でも手術件数が増加しており、その中で手術を受けられた患者が、どの程度満足されているのかという事に疑問を持ち、調査を行った。又、手術に対する患者のニーズに対しても調査したので報告する。 【対象・方法】  対象は、平成15年4月~18年6月に当院にて人工関節全置換術を受けた患者のうち、平成18年6月~8月の間に再診した患者86名で、人工股関節全置換術(以下、THA)施行患者44名(男性4名、女性40名)、平均年齢66.1歳、人工膝関節全置換術(以下、TKA)施行患者4...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 141
Main Authors 小川, 達矢, 狩野, 季代, 柏木, 輝行, 小八重, 静香, 立野, 久美子, 飯島, 正二郎, 小島, 成喜, 佐々木, 佳子, 園田, 郁, 塩崎, 猛, 中武, 浩章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2007.0.141.0

Cover

More Information
Summary:【はじめに】  人工関節全置換術は、インプラントの耐久性向上や再置換における手術手技の発達などにより、患者が年々増加傾向にある。当院でも手術件数が増加しており、その中で手術を受けられた患者が、どの程度満足されているのかという事に疑問を持ち、調査を行った。又、手術に対する患者のニーズに対しても調査したので報告する。 【対象・方法】  対象は、平成15年4月~18年6月に当院にて人工関節全置換術を受けた患者のうち、平成18年6月~8月の間に再診した患者86名で、人工股関節全置換術(以下、THA)施行患者44名(男性4名、女性40名)、平均年齢66.1歳、人工膝関節全置換術(以下、TKA)施行患者42名(男性7名、女性35名)、平均年齢75.1歳である。方法は、定期診察時にアンケート用紙を配布し、質問項目ごとに満足度を100点満点で記入、さらに手術に対しての期待についても質問した。TKA患者とTHA患者間での差についても比較検討を行った。 【結果】  術後の痛みの項目では、THA85.7点・TKA81.8点、関節の動きに関しては、THA83.5点・TKA76.3点、歩行満足度は、THA82.3点・TKA75.7点、リハビリテーション(以下、リハ)満足度は、THA87.5点・TKA77.7点で、総合評価はTHA87.8点・TKA80.1点、手術前の期待に対する満足度は、THA91.2点・TKA83.3点であった。THA患者に関しては、各満足度の平均が82~91点と高い満足度が得られたがTKA患者に関しては75~83点とTHA患者と比べて低い満足度であった。THA ・TKA患者の術後に期待する項目では、共に、1番多かったのが痛みのない生活、2番目が歩くこと、3番目に普通の生活であった。 【考察】  TKA患者はTHA患者に比べ全体的に満足度が低い傾向にあった。特にリハ満足度・期待満足度・総合評価で有意差が見られた。この両者間の違いの原因として、関節の動き満足度・歩行満足度に差が生じた為、この様な結果が得られたと考える。ADL能力の改善と社会復帰を目的としてリハを行い、日常生活では問題のないレベルで退院していた為、充分満足が得られていると考えていた。しかし、患者としては関節の動きや歩行等に、何らかの問題が残存し、満足度につながっていない事がわかった。2つの項目に関しては今後、退院後も患者と個人面談し、どの様な問題点があるのかを把握した上で、今後のリハに反映させたい。
Bibliography:110
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2007.0.141.0