単純動作と複雑動作時における脳活動の比較 近赤外分光法(NIRS)による検討

本研究の目的は,手指の複雑動作と単純動作遂行時における脳血流量変化と運動学習による脳血流量変化を近赤外分光法(near infrared spectroscopy,NIRS)を用いて検討することである。課題動作は,複雑動作としてピンポン球とゴルフボールをそれぞれ2個ずつ,手掌で反時計回りに回転させる動作とし,単純動作は,ゴムボールを繰り返し握る動作とした。その結果,単純動作に比べ複雑動作遂行時には,筋活動が同程度であっても大脳感覚運動領野の脳血流量が有意に増加することが示された(p<0.01)。また,6日間の複雑動作課題練習後では動作遂行速度が速くなるため,同一回転数での動作遂行時には,...

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Published in理学療法学 Vol. 35; no. 2; pp. 50 - 55
Main Authors 大西, 秀明, 内藤, 幾愛, 古沢, アドリアネ明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.04.2008
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00004908651

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Summary:本研究の目的は,手指の複雑動作と単純動作遂行時における脳血流量変化と運動学習による脳血流量変化を近赤外分光法(near infrared spectroscopy,NIRS)を用いて検討することである。課題動作は,複雑動作としてピンポン球とゴルフボールをそれぞれ2個ずつ,手掌で反時計回りに回転させる動作とし,単純動作は,ゴムボールを繰り返し握る動作とした。その結果,単純動作に比べ複雑動作遂行時には,筋活動が同程度であっても大脳感覚運動領野の脳血流量が有意に増加することが示された(p<0.01)。また,6日間の複雑動作課題練習後では動作遂行速度が速くなるため,同一回転数での動作遂行時には,筋活動量および大脳運動感覚領野の脳血流量が減少することが示された。これらのことから,複雑動作遂行時には,脳血流量が増加していることが明らかになった。また,NIRSを用いて運動学習および運動制御機構における大脳皮質活動状態を検討することが可能であることが示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00004908651