ラットにおけるEbselenの体内動態(第3報):75Se標識体投与後の吸収,分布および排泄
有機セレン含有抗酸化剤ebselenが生体内で代謝されてその分子内Se原子が無機Se化合物として遊離(無機化)するか否かを明らかにする目的で,75Se-ebselenあるいは対照の無機セレン化合物Na275SeO3を雄性ラットにそれぞれ50mg/kg経口あるいは1mg/kg静脈内投与し,血液中放射能濃度,尿および糞中排泄率を測定するとともに,全身オートラジオグラムを作製し,以下の結果を得た. 1.血液中放射能濃度平均値は75Se-ebselen投与群では投与後1時間に最高濃度(Cmax) 29.17nmol eq./ml(8.00μg eq./ml)を示した後,投与後2時間から24時間まで半減...
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Published in | 薬物動態 Vol. 12; no. 6; pp. 619 - 629 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本薬物動態学会
31.12.1997
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ISSN | 0916-1139 |
DOI | 10.2133/dmpk.12.619 |
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Summary: | 有機セレン含有抗酸化剤ebselenが生体内で代謝されてその分子内Se原子が無機Se化合物として遊離(無機化)するか否かを明らかにする目的で,75Se-ebselenあるいは対照の無機セレン化合物Na275SeO3を雄性ラットにそれぞれ50mg/kg経口あるいは1mg/kg静脈内投与し,血液中放射能濃度,尿および糞中排泄率を測定するとともに,全身オートラジオグラムを作製し,以下の結果を得た. 1.血液中放射能濃度平均値は75Se-ebselen投与群では投与後1時間に最高濃度(Cmax) 29.17nmol eq./ml(8.00μg eq./ml)を示した後,投与後2時間から24時間まで半減期(t1/2)7.6hrで減衰した.Na275SeO3投与群では最初の測定時点である投与後5分に57.75nmol eq./ml(9.99μg eq./ml)を示した後,緩慢に減衰し,投与後24時間から168時間までt1/2,190hrで減衰した. 2.放射能の体内分布をARGで検討したところ,75Se-ebselen投与群では投与後1時間で胃内容物および腸内容物にもっとも高く,ついで白色脂肪,褐色脂肪および肝臓に血液より高い放射能が認められた.全体の放射能は経時的に減衰し,投与後168時間では放射能は全く認められなかった.一方,Na275SeO3投与群では投与後168時間においても肝臓,腎臓および血液に高い放射能が残留していた. 3.75Se-ebselen投与群では投与後168時間までに尿中に投与した放射能の53.8%,糞中に45.8%が排泄された.この時点のカーカス中には放射能は全く認められなかった.Na275SeO3投与群では投与後168時間までに尿中に投与した放射能の44.8%,糞中に8.0%が排泄された.この時点のカーカス中には投与量の41.1%残っており,残留性が認められた. 上記成績から,ebselen投与後の生体内における分子内Se原子の無機化率は投与量の0.0%であると算出された. |
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ISSN: | 0916-1139 |
DOI: | 10.2133/dmpk.12.619 |