施設内歩行自立度判定表の作成 第3報
【はじめに】 先行研究においてハイリスク転倒者の選定を目的に当施設での自立度判定表を作成した.本研究の目的は実際に自立度判定表を使用しその後の転倒との関連性を検証することで自立度判定表の実用性の有無及び臨床場面での使用方法を検討することである. 【方法】 当施設入所時またはセラピストにより歩行での移動が可能であると判断され移動方法の変更を行う際にBerg Balance scale(以下BBS),日本版Fall Efficacy scale(以下FES),Stop When Walking Test(以下SWWT)を測定した.その結果をふまえ看護師,介護士とのカンファレンスにて移動方法の変...
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| Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 85 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
九州理学療法士・作業療法士合同学会
2011
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0915-2032 2423-8899 |
| DOI | 10.11496/kyushuptot.2011.0.85.0 |
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| Summary: | 【はじめに】 先行研究においてハイリスク転倒者の選定を目的に当施設での自立度判定表を作成した.本研究の目的は実際に自立度判定表を使用しその後の転倒との関連性を検証することで自立度判定表の実用性の有無及び臨床場面での使用方法を検討することである. 【方法】 当施設入所時またはセラピストにより歩行での移動が可能であると判断され移動方法の変更を行う際にBerg Balance scale(以下BBS),日本版Fall Efficacy scale(以下FES),Stop When Walking Test(以下SWWT)を測定した.その結果をふまえ看護師,介護士とのカンファレンスにて移動方法の変更の可否を判断し,3か月間の転倒の有無を調べた.今回の研究ではカットオフ値として先行研究で算出されたBBS:47点,FES:31点SWWT:NO判定を採用した.転倒群と非転倒群に分類しBBS,FES,SWWT及び各検査の2項目,3項目を組み合わせた場合のテストの感度,特異度,陽性的中度,陰性的中度を算出した. 【結果】 今回の研究において20名中転倒者は10名であり検査前確率は50%であった.それぞれのテストの結果は感度,特異度,陽性的中度,陰性的中度の順に記載するとBBS:70%70%70%70%,FES:80%60%66%75%,SWWT:20%100%100%56%,BBS+FES:90%50%64%83%,BBS+SWWT:80%70%73%78%,FES+SWWT:90%60%69%86%,BBS+FES+SWWT:100%50%67%100%であった. 【考察】 今回検査後確率(陽性的中度)はすべての検査において検査前確率に比べ高かった.すなわちハイリスク転倒者を見極めるため,自立度判定表の利用が効果的であることがいえる.また,3項目のコンビネーションテストにおいて感度・陰性的中度が100%であり転倒の危険性の低い利用者の選定に有効である.ただし,特異度の低さから3項目全てカットオフよりも高い利用者のみを自立にすることは利用者の活動度を下げることになる.2項目のコンビネーションテストでは感度・特異度ともに高くハイリスク転倒者・自立可能者の選定に有用であることがいえる. 【おわりに】 当施設での自立度判定表はハイリスク転倒者・自立可能者の選定に有用であることがいえた.しかし,3つの検査で転倒発生をすべて予測するのは困難であり,実際はこの自立度判定表を使用しカンファレンスで情報を共有することで転倒の発生を最小限にすることと訓練場面への応用が大事である. 今回の研究では症例数の少なさが問題であり、今後は症例数を増やすとともに多施設での研究を行うことでより妥当性の高い検査にする必要があると考える. |
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| Bibliography: | 085 |
| ISSN: | 0915-2032 2423-8899 |
| DOI: | 10.11496/kyushuptot.2011.0.85.0 |