クリニカルパス使用状況とバリアンス分析 3ヵ年を経過して
【目的】 当院では平成16年度より院内活動の一環としてクリニカルパス(以下、パス)委員会を発足し、看護職を中心としたパス表の作成・運用に取り組んできた。これまでにも、パス表に対する分析は様々な施設などで行われているが、パス全体を通じた分析は僅かに留まっている。この為、過去3年間の当院でのパス使用状況とバリアンス結果を通じて、急性期病院でのパス運用の傾向について若干の知見を得たので報告する。 【方法】 対象は平成17年1月1日より平成19年12月31日(3年間)に当院に入院した26,364名の内、全17診療科に於いてパス表を使用した6,303名について分析を加えた。調査項目として1.患者属性2....
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          | Published in | 九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 p. 63 | 
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| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            九州理学療法士・作業療法士合同学会
    
        2008
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0915-2032 2423-8899  | 
| DOI | 10.11496/kyushuptot.2008.0.63.0 | 
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| Summary: | 【目的】 当院では平成16年度より院内活動の一環としてクリニカルパス(以下、パス)委員会を発足し、看護職を中心としたパス表の作成・運用に取り組んできた。これまでにも、パス表に対する分析は様々な施設などで行われているが、パス全体を通じた分析は僅かに留まっている。この為、過去3年間の当院でのパス使用状況とバリアンス結果を通じて、急性期病院でのパス運用の傾向について若干の知見を得たので報告する。 【方法】 対象は平成17年1月1日より平成19年12月31日(3年間)に当院に入院した26,364名の内、全17診療科に於いてパス表を使用した6,303名について分析を加えた。調査項目として1.患者属性2.パス表3.バリアンス表を用いて分析を行った。 【結果】 入院患者に対するパス使用対象者は、6,303名(使用率:23.9%)、平均年齢64.2歳、平均入院日数10.8日であった。使用率は19.4%から27.9%と年々増加している。診療科別使用率は、眼科(76.9%)が最も高く、循環器科・産婦人科の順となっている。パス表別の使用状況は、心臓カテーテル検査(使用率:17%)、白内障・経皮的冠動脈形成術の順であった。バリアンスの出現者は、2,605名(出現率:41.3%)・平均年齢66.0歳・平均入院日数14.2日・入院日からの出現日数7.4日であった。診療科別の出現率では心臓血管外科(81.4%)・外科・皮膚科の順で高く見られた。逆に、眼科(8.8%)・耳鼻科・産婦人科では低い傾向が見られた。パス表別の出現率では、経尿道的膀胱腫瘍切除術(69%)・抜釘術・経皮的冠動脈形成術と高くなった。バリアンスの出現要因では、患者要因(71%)が最も多く、医療者要因・社会的要因・病院システム要因の順となった。患者要因の原因として、患者の意思による入院期間の変更や病状の変化によるパス表の変更等が多く見られた。医療者要因の原因としては患者病状の変化による指示の変更や不足によるものが見られた。社会的要因としては、在宅環境や家族関係の調整不足や施設の事情等が見られる様になった。パス表に於けるバリアンス出現項目は検査(29.0%)・治療・診療報酬に関する項目に多く見られた。 【考察】 パス表の使用傾向やバリアンスの出現傾向より、急性期病院では、急性期に出現しやすい合併症が少なく、入院期間が短い内科系疾患の患者を対象とした運用が良好な適応になると思われる。また、バリアンスの分析結果から、パスの運用には患者・家族の意思が強く影響を及ぼす為、入院時には検査や治療に関する十分な患者への説明・同意を得る必要性が大切であると再考させられる。 | 
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| Bibliography: | 63 | 
| ISSN: | 0915-2032 2423-8899  | 
| DOI: | 10.11496/kyushuptot.2008.0.63.0 |