膠原病に伴う間質性肺疾患増悪患者に呼吸リハビリテーションを実施して 自宅退院を達成した一症例
【はじめに】間質性肺疾患 (以下ILD) に対する呼吸リハビリテーション (以下呼吸リハ) の有効性は多く報告されているが、ILD急性増悪期や、膠原病に伴う間質性肺疾患 (以下CTD-ILD) 後の呼吸リハの報告は少ない。今回、CTD-ILD増悪の急性期から、自宅退院に向けて呼吸リハを実施した症例を担当し、日常生活活動 (Activities of Daily Living:以下ADL)の改善が得られたため報告する。 【症例紹介】70歳代男性で難治性の左肩関節痛にて整形外科に通院中であった。呼吸困難感が出現し肺炎の疑いでX-21日に入院となる。X-13日よりステロイドパルス療法を開始し、呼吸不...
        Saved in:
      
    
          | Published in | 九州理学療法士学術大会誌 p. 203 | 
|---|---|
| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
    
        2024
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 2434-3889 | 
| DOI | 10.32298/kyushupt.2024.0_203_3 | 
Cover
| Summary: | 【はじめに】間質性肺疾患 (以下ILD) に対する呼吸リハビリテーション (以下呼吸リハ) の有効性は多く報告されているが、ILD急性増悪期や、膠原病に伴う間質性肺疾患 (以下CTD-ILD) 後の呼吸リハの報告は少ない。今回、CTD-ILD増悪の急性期から、自宅退院に向けて呼吸リハを実施した症例を担当し、日常生活活動 (Activities of Daily Living:以下ADL)の改善が得られたため報告する。 【症例紹介】70歳代男性で難治性の左肩関節痛にて整形外科に通院中であった。呼吸困難感が出現し肺炎の疑いでX-21日に入院となる。X-13日よりステロイドパルス療法を開始し、呼吸不全が悪化後に気管挿管を行い、人工呼吸器管理となった。X-7日に抜管し、肺病変先行型のリウマチ肺と診断された。 【初期評価】X~X+2日に行った。ROM-T肩関節屈曲右160°/左150°P+、MMT股関節屈曲右5/左4、握力右15.4kg/左13.5kg、FIM72点、NRADL30点、MMSE29点。 【理学療法および経過】X日からネーザルハイフローをFiO2 40%で呼吸リハ開始となる。初回のADLは食事がベッド上ギャッジアップで自己摂取しており、その他のADLは全介助であった。初回介入時はベッド上端座位2分でSpO2 86%まで低下したため、翌日よりFiO2 50%に増量して介入し、ベッド上端座位保持でSpO2 93%となる。X+4日に臥位でペダルエクササイズと起立練習を開始となる。 X+7日でネーザルハイフローからオキシマスク(労作時7L/分)に変更となる。X+15日に平行棒内歩行練習を開始し、X+21日に昼食をベッド上端座位で摂取可能となった。X+26日に歩行器歩行を開始しX+28日に身障者トイレまでの移動を歩行器見守りへと変更した。X+32日にトレッキングポールでの歩行練習を開始し、X+35日に自室から身障者トイレまでの移動を日中のみ歩行器自立へと変更した。X+39日に労作時6L/分へと減量となり、階段昇降練習を開始した。X+49日に床上動作を開始した。X+53日に入浴評価を実施し洗体動作自立レベルであった。X+54日に車の乗降練習を実施した。X+57日に院外練習を行い環境調整後、X+63日に在宅酸素療法(安静時1L/分、食事1L/分、労作時同調式6L/分)を導入し自宅退院となった。 【中間評価】X+35~36日に行った。ROM-T肩関節屈曲右160°/左160°、MMT股関節屈曲右5/左5、握力右20.6kg/左19.5kg、FIM73点、NRADL43点、MMSE29点。 【最終評価】X+61~62日に行った。ROM-T肩関節屈曲右160°/左160°、MMT股関節屈曲右5/左5、握力右25.2kg/左21.9kg、10m歩行テスト12.3秒、14歩、FIM 110点、NRADL53点、MMSE29点。 【考察】CTD-ILD増悪患者に対し、急性期からの運動療法とADLトレーニングを中心とした呼吸リハを実施した。結果として、FIMとNRADL値の改善が得られ、自宅退院が可能となった。間質性肺炎患者は、呼吸困難感や運動態耐容能の低下によりADLの遂行が困難になると示唆されており、運動療法を中心とした呼吸リハを実施すると、呼吸困難感や運動耐容能が改善すると報告されている。またADLトレーニングを中心とした呼吸リハは、向上させたい具体的な動作を直接的に実施することで、ADLが改善されると報告されている。 以上のことより、今回運動療法とADLトレーニングを中心とした呼吸リハを行うことで、FIMとNRADL値が改善し、結果として自宅退院が可能となったのではないかと考える。 【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に十分な説明を行い、同意を得た。 | 
|---|---|
| Bibliography: | CS3-3 | 
| ISSN: | 2434-3889 | 
| DOI: | 10.32298/kyushupt.2024.0_203_3 |