神経因性膀胱に伴う慢性尿路感染症 尿路管理法の相違による感染菌の動態について
神経因性膀胱患者45名の慢性尿路感染症について, 尿中細菌培養検査を行い起炎菌, 感染率, 膀胱機能, 管理方法などについて検討を行った. 対象患者は3カ月以上の尿路管理期間の経過をもった症例が大多数で, 原疾患としては脊髄損傷, 脳血管障害など多種の疾患による神経因性膀胱であった. 採尿は可能な限り厳密な無菌操作によるカテーテル採尿を行い, 細菌培養は, 好気性, 嫌気性培養をすべての症例について行った. Urodynamic study としては, 膀胱内圧測定, 尿道波形測定, 外尿道括約筋々電図測定を行い神経因性膀胱を5型に分類しタイプを決定した. われわれの管理法下における尿中細菌培...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 678 - 686 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
20.05.1985
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.76.5_678 |
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Summary: | 神経因性膀胱患者45名の慢性尿路感染症について, 尿中細菌培養検査を行い起炎菌, 感染率, 膀胱機能, 管理方法などについて検討を行った. 対象患者は3カ月以上の尿路管理期間の経過をもった症例が大多数で, 原疾患としては脊髄損傷, 脳血管障害など多種の疾患による神経因性膀胱であった. 採尿は可能な限り厳密な無菌操作によるカテーテル採尿を行い, 細菌培養は, 好気性, 嫌気性培養をすべての症例について行った. Urodynamic study としては, 膀胱内圧測定, 尿道波形測定, 外尿道括約筋々電図測定を行い神経因性膀胱を5型に分類しタイプを決定した. われわれの管理法下における尿中細菌培養での陽性率は, 45例中24例 (53%) であった. そのうち混合感染は12例 (27%) に見られた. 膀胱内圧測定と感染との関係では, flaccid bladder 症例で残尿が多く61%と最も高い感染率を示した. しかし残尿60~74mlと同程度の残尿を示した uninhibited bladder, spastic bladder, normal type の3型では normal type が著明に低い感染率であった. 分離菌では合計92回の尿中細菌培養検査で108株が検出された. 好気性菌では Gram 陽性菌の Streptococcus faecalis が34株 (31.4%) と最も多く, つづいて Gram 陰性菌の Proteus 族が15株 (13.9%), Escherichia coli が13株 (12.0%) であった. 嫌気性菌は6株 (5.0%) にすぎなかった. 年次的に見ると一時低下していた Gram 陽性菌である Streptococcus faecalis, Streptococcus faecium の Enterococcus が再び増加していた. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.76.5_678 |