膀胱腫瘍に対する放射線治療 特に術前照射の意義について

1975年から1981年の7年間に, high stage (T2~T4) 及びhigh grade-low stage (T1) の膀胱腫瘍患者52例に対し放射線治療を施行した. このうち23例では2,000~4,000radの術前照射に引き続き膀胱全摘を, 4例では膀胱部分切除が行なわれた. 主として70歳以上の高齢者や膀胱全摘を拒否した25例には5,000~6,000radの治癒的照射が行なわれた. 1) 術前照射群のT1, T2, T3の3年および5年生存率は, それぞれT1で100%~100%, T2で80%~43%, T3で45%~23%であった. 2) 放射線治療による down...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 554 - 559
Main Authors 大和田, 文雄, 山田, 拓己, 横川, 正之, 堀内, 淳一, 渋谷, 均, 福井, 巌, 関根, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1985
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.76.4_554

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Summary:1975年から1981年の7年間に, high stage (T2~T4) 及びhigh grade-low stage (T1) の膀胱腫瘍患者52例に対し放射線治療を施行した. このうち23例では2,000~4,000radの術前照射に引き続き膀胱全摘を, 4例では膀胱部分切除が行なわれた. 主として70歳以上の高齢者や膀胱全摘を拒否した25例には5,000~6,000radの治癒的照射が行なわれた. 1) 術前照射群のT1, T2, T3の3年および5年生存率は, それぞれT1で100%~100%, T2で80%~43%, T3で45%~23%であった. 2) 放射線治療による downstaging は全体で45% (21/47) にみられた. 組織型別にみると非乳頭状微小浸潤癌では100% (7/7) と高率にみられたが, 表在性乳頭状癌では50% (4/8), 浸潤癌では31% (10/32)と 低率であった. 3) 術前照射を施行した浸潤癌症例のうち, downstaging のみられた6例では, 3年生存率100%, 5年生存率57%と比較的予後良好であったが, downstaging のみられなかった16例では, 3年生存率50%, 5年生存率11%と不良であった. 4) 術前照射群では, 局所再発の頻度は7% (2/27) と少なかったが, 遠隔転移の発生は22% (6/27) と多かった. また, 全転移例の58%は1年以内に, 92%は3年以内に発生した.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.76.4_554