尿路結石症の発生原因に対する内分泌学的検討 第II報 原発性上皮小体機能亢進症における cyclic AMPの動態について
原発性上皮小体機能亢進症における cyclic AMP の動態を検討し次の結果を得た. (1) 13症例, 48検体の平均値は9.51±7.21μmoles/g. Crで平均人より有意に高く, 男女差はなかつた. (2) 日差および日内変動は正常人と比べ大きい変動がみられた. (3) 血漿 cyclic AMPの平均値は26.95±8.50p mole/mlで正常人と差はなかつた. (4) 尿中 cyclic AMPと血清CaおよびCa++との間には正の相関が有り (p<0.01, p<0.05), 尿中CaおよびP排泄量とも正の相関をみた (各々p<0.01, p<0...
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| Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 626 - 637 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1980
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
| DOI | 10.5980/jpnjurol1928.71.6_626 |
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| Summary: | 原発性上皮小体機能亢進症における cyclic AMP の動態を検討し次の結果を得た. (1) 13症例, 48検体の平均値は9.51±7.21μmoles/g. Crで平均人より有意に高く, 男女差はなかつた. (2) 日差および日内変動は正常人と比べ大きい変動がみられた. (3) 血漿 cyclic AMPの平均値は26.95±8.50p mole/mlで正常人と差はなかつた. (4) 尿中 cyclic AMPと血清CaおよびCa++との間には正の相関が有り (p<0.01, p<0.05), 尿中CaおよびP排泄量とも正の相関をみた (各々p<0.01, p<0.05). (5) 尿中 cyclic AMP とPTHとは強い正の相関がみられた (p<0.01). (6) 尿中 cyclic AMP やPTHより指標として有効とされる腎性 cyclic AMPは一部の症例に負の値をみ, 腎尿細管での cyclic AMPの再吸収も考えられた. (7) 上皮小体腺腫摘除後は, 先ず尿中 cyclic AMPが2時間に低下し, 次いで血清CaおよびCa++が4~5時間後に有意に低下した. 尿中 cyclic AMP は4~5時間後一定なのに対し, 血清Caはさらに24時間後まで低下した. 尿中Pは最も遅く8時間後に有意に低下をみた. 尿中Caは特異な経過をたどり, 摘除後徐々に上昇し4~5時間後に有意の増加をみ, その後漸減して24時間後には正常値近くまでになつた. (8) 上皮小体腺腫の cyclic AMP 量は, PTH濃度と同様高値であつた. (9) 以上の諸検査結果から尿中 cyclic AMP は上皮小体機能を表わす指標となり得ることがわかつた. |
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| ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
| DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.71.6_626 |