疼痛を有する復位性顎関節円板転位症例に対する一次治療 2回顎関節腔洗浄療法と消炎鎮痛剤併用療法

現在, 復位性顎関節円板転位症例に対しての治療法は保存的療法を中心に試みられているが, その中でも関節腔内部の炎症性物質を除去し, 疼痛を軽減する顎関節腔洗浄療法が注目されており, 洗浄施行回数は2回までは効果的であるとの報告がみられる。しかし, その経時的治療効果はいまだ明らかではない。そこで, 疼痛を有する復位性顎関節円板転位症例に対して2回顎関節腔洗浄療法および消炎鎮痛剤投与併用療法を施行した。 対象は, 1999年11月からの1年間に愛知学院大学歯学部附属病院顎関節外来を受診し, MR画像にて復位性顎関節円板転位と診断された患者のうち, 顎関節症状を片側性に有する患者で, 当外来で設定...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTMJ : journal of Japanese Society for Temporomandibular Joint : 日本顎関節学会雑誌 Vol. 14; no. 3; pp. 291 - 299
Main Authors 福田, 幸太, 外山, 正彦, 水野, 進, 松浦, 宏昭, 佐野, 大輔, 中塚, 健介, 磯辺, 誠, 加藤, 勇, 中野, 雅哉, 栗田, 賢一, 小木, 信美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.2002
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.14.291

Cover

More Information
Summary:現在, 復位性顎関節円板転位症例に対しての治療法は保存的療法を中心に試みられているが, その中でも関節腔内部の炎症性物質を除去し, 疼痛を軽減する顎関節腔洗浄療法が注目されており, 洗浄施行回数は2回までは効果的であるとの報告がみられる。しかし, その経時的治療効果はいまだ明らかではない。そこで, 疼痛を有する復位性顎関節円板転位症例に対して2回顎関節腔洗浄療法および消炎鎮痛剤投与併用療法を施行した。 対象は, 1999年11月からの1年間に愛知学院大学歯学部附属病院顎関節外来を受診し, MR画像にて復位性顎関節円板転位と診断された患者のうち, 顎関節症状を片側性に有する患者で, 当外来で設定している顎関節機能障害度分類で疼痛に関する項目が中等度および重度を示す17症例とした。 顎関節腔洗浄療法は2週間の間隔で2回行い, 治療開始時から消炎鎮痛剤を連日投与した。経過観察は, 2週間ごとに12週まで行い, 各週の改善率を算出した。 その結果, 改善率は術後2週で35%, 4週で59%, 6, 8, 10週で65%, 12週で71%と経時的に増加した。また, 改善率を各項目 (最大開口域, 安静時痛, 開閉口時痛, 咀嚼時痛, 日常生活支障度) に分けて検討したところ, 各疼痛および日常生活支障度は, 若干の増減は認めるものの12週までに10以下に減少し, 最大開口域もそれに伴って増加した。 本治療により早期に疼痛軽減, 最大開口域増加を図ることができ, その有用性が示唆された。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.14.291