陳旧性下顎骨骨折に対して再手術を行った1症例 咬合機能回復について

「緒言」顎, 口腔領域の骨折の外科的治療は顎口腔系の形態および機能の改善を目的に行われる1). 形態学的診査については従来から歯科矯正学領域において幅広く行われてきた2, 3). 近年, この領域における治療のもう一つの目標である咬合機能の回復について, その定量的評価に大きな関心が寄せられている4-6). 顎顔面の形態と機能は密接な関連性があると考えられるため, これらの検査から得られたデータは術前の治療の方針を決定する際にあるいは術後の経過観察の評価に重要な資料になると考えられる. しかしながら, このような咬合機能を客観的に評価した報告は比較的少ない. 今回, 咬合の異常および顎の偏位を...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 4; no. 2; pp. 123 - 130
Main Authors 田中, 昌博, 川添, 尭彬, 岡野, 博郎, 村田, 洋一, 柏木, 宏介, 中嶋, 正博, 角熊, 雅彦, 野阪, 泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 30.10.1994
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.4.123

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Summary:「緒言」顎, 口腔領域の骨折の外科的治療は顎口腔系の形態および機能の改善を目的に行われる1). 形態学的診査については従来から歯科矯正学領域において幅広く行われてきた2, 3). 近年, この領域における治療のもう一つの目標である咬合機能の回復について, その定量的評価に大きな関心が寄せられている4-6). 顎顔面の形態と機能は密接な関連性があると考えられるため, これらの検査から得られたデータは術前の治療の方針を決定する際にあるいは術後の経過観察の評価に重要な資料になると考えられる. しかしながら, このような咬合機能を客観的に評価した報告は比較的少ない. 今回, 咬合の異常および顎の偏位を主訴に来院した陳旧性骨折症例に対して観血的整復術を施行し, 術前術後にME機器を応用した顎口腔機能検査7)を行い, その変化を検討した. 症例 患者:19歳, 女性 初診日:平成4年7月24日 主訴:左側頬粘膜の咬傷, 咬合異常および顎の偏位 既往歴:特記事項なし 現病歴:平成4年5月21日交通事故により顔面を打撲し, 下顎骨骨折の診断で某整形外科において観血的整復術を受けたが, 下顎の偏位および咬合異常が自覚されたため来院した.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.4.123