療養環境の整備をテーマとしたシミュレーション教育の学習効果 看護基礎教育における導入テーマとしての考察

本研究の目的は、療養環境の整備が看護基礎教育におけるシミュレーション教育の導入テーマとして適切であるかを考察することである。新型コロナウイルス感染症の影響により看護技術を対面で学ぶ演習機会が限られてしまった看護学部2年次生8名の、シミュレーション演習の振り返り記録を分析した。シミュレーション演習は病床環境を再現した演習室にて実施され、1ブースあたり学生6名×3グループ、教員1名の配置であった。教員は、進行役及び患者役を行い、ブースごとに合計140分間のシミュレーションを進行した。振り返り記録の分析の結果、学生は療養環境の整備のシチュエーション・ベースド・トレーニングを通して、療養環境を整えるだ...

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Published in日本シミュレーション医療教育学会雑誌 Vol. 13; p. 2025-13-01
Main Authors 高島 真美, 中野 文乃, 山本 加奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本シミュレーション医療教育学会 2025
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ISSN2187-9281
2436-4452
DOI10.50950/jasehp.2025-13-01

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Summary:本研究の目的は、療養環境の整備が看護基礎教育におけるシミュレーション教育の導入テーマとして適切であるかを考察することである。新型コロナウイルス感染症の影響により看護技術を対面で学ぶ演習機会が限られてしまった看護学部2年次生8名の、シミュレーション演習の振り返り記録を分析した。シミュレーション演習は病床環境を再現した演習室にて実施され、1ブースあたり学生6名×3グループ、教員1名の配置であった。教員は、進行役及び患者役を行い、ブースごとに合計140分間のシミュレーションを進行した。振り返り記録の分析の結果、学生は療養環境の整備のシチュエーション・ベースド・トレーニングを通して、療養環境を整えるだけではなく、患者がおかれている環境の意味付けをしたり、その環境で過ごす患者の身体面・精神面に目を向けて患者を観察したりしていた。さらに、観察した内容から患者の状態や認識、価値観などを洞察していたことも明らかとなった。このような観察と洞察は、すべての看護技術の土台として求められるものである。この学習効果に加え、療養環境の整備は、緊張度の低い技術であるという特徴から、看護基礎教育におけるシミュレーション教育の導入テーマとして適していることが示唆された。
ISSN:2187-9281
2436-4452
DOI:10.50950/jasehp.2025-13-01