小児科領域を対象とするarbekacin血漿中薬物動態パラメータの算出
小児を対象とする硫酸アルベカシン注射液 (以下ABK) 血漿中薬物動態パラメータを算出することを主目的とした多施設共同による市販後臨床試験を実施し, 以下に述べる成績を得た。対象は, 新生児・低出生体重児群および乳・幼児群の2群であり, ABKを2~3mg/kgで30分間かけて点滴静脈内投与をした際のABK血漿中薬物動態パラメータは, 以下の通りであった。最高血漿中濃度 (Cmax) は新生児群 (n=4) が6.64±1.13 (μg/mL), 乳・幼児群 (n=3) が7.91±1.43 (μg/mL) であり, 新生児群と乳・幼児群では有意差は見られなかった (p=0.2429)。定常状...
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Published in | 日本化学療法学会雑誌 Vol. 51; no. 2; pp. 91 - 96 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
25.02.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1340-7007 1884-5886 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1995.51.91 |
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Summary: | 小児を対象とする硫酸アルベカシン注射液 (以下ABK) 血漿中薬物動態パラメータを算出することを主目的とした多施設共同による市販後臨床試験を実施し, 以下に述べる成績を得た。対象は, 新生児・低出生体重児群および乳・幼児群の2群であり, ABKを2~3mg/kgで30分間かけて点滴静脈内投与をした際のABK血漿中薬物動態パラメータは, 以下の通りであった。最高血漿中濃度 (Cmax) は新生児群 (n=4) が6.64±1.13 (μg/mL), 乳・幼児群 (n=3) が7.91±1.43 (μg/mL) であり, 新生児群と乳・幼児群では有意差は見られなかった (p=0.2429)。定常状態分布容積 (Vdss) は新生児群0.382±0.045 (L/kg), 乳・幼児群0.304±0.060 (L/kg), 血漿中濃度半減期 (t1/2) は新生児群3.20±0.91 (h), 乳・幼児群1.73±0.43 (h) であり, いずれの薬物動態パラメータも新生児群と乳・幼児群で有意差は見られなかったが, 新生児群の方が大きな値であった (p=0.1049, 0.0515)。全身クリアランス (Cltot) は新生児群0.091±0.017 (L/h/kg), 乳・幼児群0.154±0.030 (L/h/kg) であり, 乳・幼児群が有意に大きな値を示した (p=0.0148)。ABK血漿中薬物動態パラメータから投与終了12時間後の血漿中濃度 (トラフ値) を計算したところ, その平均値は新生児群0.42±0.25 (μg/mL), 乳・幼児群0.05±0.04 (μg/mL) であった。今回新/主児・低出生体重児および乳・幼児にABKを2~3mg/kgで30分間かけて点滴静脈内投与した結果, 新生児4例, 乳・幼児3例からABK血漿中薬物動態パラメータを算出することができた。また, これらの患児における血漿中薬物濃度は, 成人で臨床効果および安全性が推奨されている血漿中薬物濃度とほぼ似通った推移を示した。 |
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ISSN: | 1340-7007 1884-5886 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1995.51.91 |