顎顔面変形症における咬筋の組織化学的研究 第2報: 男性例について

「緒言」顎顔面変形症の成因については, 不明な点が多く, その本態は複雑であるが, 種々の要因のうち機能的な影響も強く受けているものと思われる1-3). したがって, 咀嚼筋機能についての検索は, 顎顔面変形症患者の診断, 治療, 予後において重要であると考えられるが, 咀嚼筋の組織化学的研究はほとんど見当らない. そこでわれわれは, 咀嚼筋機能と顎骨の成長発育や顎顔面形態との関連を明らかにするために, 顎顔面変形症について顎矯正手術時に咬筋の筋生検を行い, 組織化学的に検討してきた. 女性例について, タイプ1優位, タイプ2線維の選択的萎縮などの組織化学的特徴を有していることを報告した4)...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 3; no. 1; pp. 31 - 41
Main Authors 八木, 教之, 中村, 康宏, 橋本, 賢二, 福田, 廣志, 上田, 吉生, 北川, 善政
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 30.04.1993
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.3.31

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Summary:「緒言」顎顔面変形症の成因については, 不明な点が多く, その本態は複雑であるが, 種々の要因のうち機能的な影響も強く受けているものと思われる1-3). したがって, 咀嚼筋機能についての検索は, 顎顔面変形症患者の診断, 治療, 予後において重要であると考えられるが, 咀嚼筋の組織化学的研究はほとんど見当らない. そこでわれわれは, 咀嚼筋機能と顎骨の成長発育や顎顔面形態との関連を明らかにするために, 顎顔面変形症について顎矯正手術時に咬筋の筋生検を行い, 組織化学的に検討してきた. 女性例について, タイプ1優位, タイプ2線維の選択的萎縮などの組織化学的特徴を有していることを報告した4). 今回は男性例について同様の検索を行い, 正常咬合者を対照として比較したところ, 興味ある知見が得られたので報告する. 「対象および方法」 研究対象 対象症例は, 顎顔面変形症と診断され顎矯正手術を施行した男性21名である. 年齢は18歳から37歳で平均23.3歳であった. 診断は, 下顎前突症18例(下顎非対称を伴うもの2例), 開咬症2例(小下顎症を伴うもの1例), 顎顔面非対称1例である.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.3.31