陸生等脚類の分布と環境 京都市域を中心に

京都市域を中心とした都市部の緑地ならびにその周辺の森林に焦点をあて、陸生等脚類の群集組成変動パターンの解析を試みた。各調査地点で出現した陸生等脚類の個体数データを用いてDCA法とクラスター分析を行い、17調査地点を序列化したところ、都市域から森林に至る土地利用形態の移行との対応が見られた。このことから、陸生等脚類の群集組成は土地利用形態に対応して変動していることが示唆された。DCA法により群集傾度を表わす主要な2変動軸が抽出されたが、DCA1軸はの都市性から森林性に至る在来4種の組成の変動(M. nipponicus → L. Nishimurai → V. dorsalis → L. jap...

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Published in森林研究 Vol. 71; pp. 1 - 7
Main Authors 藤田, 夕希, 渡辺, 弘之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立大学法人 京都大学フィールド科学教育研究センター 2024
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ISSN1344-4174
2759-3134
DOI10.60409/forestresearch.71.0_1

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Summary:京都市域を中心とした都市部の緑地ならびにその周辺の森林に焦点をあて、陸生等脚類の群集組成変動パターンの解析を試みた。各調査地点で出現した陸生等脚類の個体数データを用いてDCA法とクラスター分析を行い、17調査地点を序列化したところ、都市域から森林に至る土地利用形態の移行との対応が見られた。このことから、陸生等脚類の群集組成は土地利用形態に対応して変動していることが示唆された。DCA法により群集傾度を表わす主要な2変動軸が抽出されたが、DCA1軸はの都市性から森林性に至る在来4種の組成の変動(M. nipponicus → L. Nishimurai → V. dorsalis → L. japonicum)を、DCA2軸は都市性の種のうち在来種のM. nipponicusと外来種のA. vulgareのすみわけを、それぞれ反映していた。DCA1軸上での群集の多様度はプロットスコア2.5付近で最も高かったが、ここではAo層が豊かであり、複数種の陸生等脚類の生息を可能にするような多様な環境を有していると考えられた。DCA2軸上での群集の多様度は軸の両端で低かったが、ここではAo層の量・リターの種類が乏しく、森林性の種が生息できなかったと考えられた。
ISSN:1344-4174
2759-3134
DOI:10.60409/forestresearch.71.0_1