茨城県理学療法士会における公益的活動への取り組みについて 活動事例を通しての一考察

【はじめに】  近年我が国においては,民間非営利部門による公益的活動が重視され,これを担う主体として「公益法人」を位置づける法改正がなされた.この経過を受け日本理学療法士協会(以下,協会)では,2008年度総会にて公益法人格取得を目指すことが議決された.茨城県理学療法士会(以下,当士会)においても「公益性のある活動をより一層充実させる」とした2009年度事業計画のもと,公益法人への移行を前提とした組織改編がなされ,公益的活動の主な担当部署として「社会・職能局」の「公益事業推進部」「地域医療福祉推進部」が統合・新設された.両部の2009年度の活動実績として,理学療法をテーマとした「市民公開講座」...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 178
Main Authors 太田, 理恵, 金森, 毅繁, 宮本, 博久, 小関, 迪, 高尾, 敏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.178.0

Cover

More Information
Summary:【はじめに】  近年我が国においては,民間非営利部門による公益的活動が重視され,これを担う主体として「公益法人」を位置づける法改正がなされた.この経過を受け日本理学療法士協会(以下,協会)では,2008年度総会にて公益法人格取得を目指すことが議決された.茨城県理学療法士会(以下,当士会)においても「公益性のある活動をより一層充実させる」とした2009年度事業計画のもと,公益法人への移行を前提とした組織改編がなされ,公益的活動の主な担当部署として「社会・職能局」の「公益事業推進部」「地域医療福祉推進部」が統合・新設された.両部の2009年度の活動実績として,理学療法をテーマとした「市民公開講座」や講習会,協会からの委託事業である「介護予防キャラバン」の開催や,自治体主催事業への講師派遣等が挙げられる.今回は,演者が講師の一人として関わった社会福祉協議会(以下,社協)主催事業での,地域住民に対して歩行能力測定および運動指導を行った一事例について報告するとともに,当士会における公益的活動という側面から若干の考察を加えたい. 【事例報告】  文化的活動や運動教室を主な内容とする,A市社協主催の市民サークル活動への運動指導目的の講師派遣を当士会が依頼され,地域医療福祉推進部を中心としたのべ5名の理学療法士が計3回に渡り派遣された.うち2009年11月の実施日には地域より22名の参加があり,業者より提供を受けた歩行能力測定・分析装置「歩ビゲーター(アイシン精機社製)」を用いた歩行能力測定および結果資料をもとにした運動指導が行われた.参加者からは自らの歩行能力や転倒リスクを知る良い機会となった等の感想が聞かれた. 【考察】  当士会においては公益法人化の方針のもと,公益的活動すなわち先述したような地域社会での活動が,より活発に展開されるものと思われる.ここで,さらに質の高い活動が今後もなされるには,十分な人員が活動に関与することが肝要であり,県内各地に在住する一般士会員の協力が必要不可欠であろう.そのためには,協会・当士会が公益法人を指向する背景や,公益的活動の意義が士会員に十分に啓蒙されることが重要な課題になると考えられる.その結果,これらの活動が地域に定着していけば,当士会や理学療法士が地域貢献し得る組織・職種であるとの認識が一般に得られるばかりでなく,会員各々が所属する各事業所の公益的活動に対する理解・協力が得られ,個々がより活動しやすい状況につながっていく可能性も考えられる.ひいては理学療法士の職域の拡大や,職業人としての個々の意識の確立・向上にさえも寄与し得るのではないだろうか.
Bibliography:248
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.178.0