東アジア諸国における都市集合住宅の近代化過程(1) 中国都市住宅の住まい方の研究

西欧諸国の影響を受けながら近代化を進めてきた,我が国をはじめ中国や台湾等の東アジア,あるいは東南アジア諸国等の研究の一環として,本年度はまず中国を取り上げ,都市集合住宅を対象に近代化過程の特徴を整理することを目的とする。主たる柱は,A.都市居住における集合住宅の位置と役割,B.社会体制と集合住宅供給(集合住宅の普及過程)の関係,C.伝統的住文化と近代化の関係(平面構成・生活行為・起居様式・履床様式・地方性),D.住宅近代化に果たした西欧諸国の役割,の4つである。1章では、(1)中国の都市部では集合住宅が圧倒的に普及していること,(2)居住水準も未だ低く課題も多いが,着実に上昇しつつあること,(...

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Published in住宅総合研究財団研究年報 Vol. 21; pp. 157 - 168
Main Authors 友清, 貴和, 林, 建平, 藤田, 忍, 大屋, 道夫, 小林, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般財団法人 住総研 1995
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ISSN0916-1864
2423-9879
DOI10.20803/jusokennen.21.0_157

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Summary:西欧諸国の影響を受けながら近代化を進めてきた,我が国をはじめ中国や台湾等の東アジア,あるいは東南アジア諸国等の研究の一環として,本年度はまず中国を取り上げ,都市集合住宅を対象に近代化過程の特徴を整理することを目的とする。主たる柱は,A.都市居住における集合住宅の位置と役割,B.社会体制と集合住宅供給(集合住宅の普及過程)の関係,C.伝統的住文化と近代化の関係(平面構成・生活行為・起居様式・履床様式・地方性),D.住宅近代化に果たした西欧諸国の役割,の4つである。1章では、(1)中国の都市部では集合住宅が圧倒的に普及していること,(2)居住水準も未だ低く課題も多いが,着実に上昇しつつあること,(3)都市集合住宅の普及要因としては初期におけるソ連の影響,不動産の国家所有化,その後の国家および単位(企業のこと)による住宅の計画的供給,が挙げられることが明らかとなった。2章では集合住宅の平面構成の推移を文献資料から分析し,ソ連模倣住宅,套間型住宅,前期庁型住宅,後期庁型住宅への変容過程として整理した。ここでは平面構成を規定する要因として,(1)初期のソ連の影響,(2)コスト低減のための面積制限と平面計画,(3)住生活の「合理化」と庁の役割,の3つが浮き彫りになった。3章では,住まい方調査によって,(1)生活行為の公私分化と庁の規模との関係,(2)住戸の半面と住様式における地方性の存在,を確認した。4章では住宅供給と社会体制の関係について分析を行ない,(1)これまで「最低仕様型スケルトン供給」と「入居時の自己改造」が必然的であった点,また,(2)近年の商品化の中で供給方式自身も影響を受けている点,を明らかにした。以上の研究結果より,中国における集合住宅の近代化過程の特徴を要約し結論とした。
ISSN:0916-1864
2423-9879
DOI:10.20803/jusokennen.21.0_157