臨床 左室機能低下を伴う虚血性心疾患の心室性期外収縮について ボルター心電図記録による検討

〔目的〕左室機能低下を呈した虚血性心疾患の心室性期外収縮(PVCs)の出現数とその重症度についてホルター心電図記録を用いて分析し,左室拡張末期容積係数(LVEDVI)との関連を明らかにする. 〔方法〕左室駆出分画(EF)30%以下の虚血性心疾患42例(男性34例,女性8例.年齢43~86歳,平均66歳.急性心筋梗塞の既往歴を有する27例,狭心症15例).これらを左室造影におけるLVEDVI 150ml/m2以上(A群)17例,同150ml/m2未満(B群)25例の2群に分類し,左室造影施行1カ月以内の24時間ホルター心電図記録におけるPVCsの出現数およびLown分類による重症度判定を行った....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 28; no. 10; pp. 785 - 789
Main Authors 渡辺, 直, 阿部, 秀樹, 河合, 裕子, 林, 和秀, 南, 勝晴, 木全, 心一, 太田, 茂樹, 山西, 秀樹, 青木, 健郎, 野崎, 洋一, 小笠原, 定雅, 木住野, 皓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.28.10_785

Cover

More Information
Summary:〔目的〕左室機能低下を呈した虚血性心疾患の心室性期外収縮(PVCs)の出現数とその重症度についてホルター心電図記録を用いて分析し,左室拡張末期容積係数(LVEDVI)との関連を明らかにする. 〔方法〕左室駆出分画(EF)30%以下の虚血性心疾患42例(男性34例,女性8例.年齢43~86歳,平均66歳.急性心筋梗塞の既往歴を有する27例,狭心症15例).これらを左室造影におけるLVEDVI 150ml/m2以上(A群)17例,同150ml/m2未満(B群)25例の2群に分類し,左室造影施行1カ月以内の24時間ホルター心電図記録におけるPVCsの出現数およびLown分類による重症度判定を行った.また,対照群として,EFが31%以上50%未満の虚血性心疾患(C群)と比較した. 〔結果〕1)PVCsの出現数:A群で1,812±3,227個(mean±SD),B群で846±1,158個がみられたが,A群とB群の間に有意差はなかった.また,C群においても1,065±1,717個であり,C群とA群,B群間にも有意差はなかった.2)PVCsの重症度:Lown分類III度以上はA群で100%,B群で64%にみられ,左室機能が低下している症例であってもLVEDVIが大きい方が有意に重症度の高い不整脈がみられた. 〔総括〕EF30%以下の左室機能低下を呈した虚血性心疾患のなかでも,LVEDVI 150ml/m2以上の症例では有意に重症度の高いPVCsがみられた.心筋梗塞発症後,早期の再灌流療法やACE阻害薬投与を開始し,左室remodelingを抑制することにより,左室拡大の進展を防止することが重要と思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.28.10_785