腰痛を診る―腰椎椎間板ヘルニアを中心に

腰痛は二足歩行する人類の宿命とされ, 罹病率が高く約60~80%の人間はその生涯に1度は腰痛を経験し, 20~30%の人は数回の腰痛を経験するといわれている. そのため日常診療において腰痛を主訴として外来を受診する患者は多い. 急性腰痛症の大部分は自然治癒されるが1, 慢性腰痛症に移行するものもある. 2003年に腰痛を主訴に当科外来を受診した449例を対象にアンケート調査を行い, 1年後に腰痛が消失していた症例は34%, 腰痛が遺残し治療を受けていた症例は30%という結果を得た2. また, 一口に腰痛といってもその原因は様々で, 自然に軽快するものも多いが, 放置すると重篤な障害を残すものも...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 42 - 46
Main Authors 元文, 芳和, 伊藤, 博元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2006
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.2.42

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Summary:腰痛は二足歩行する人類の宿命とされ, 罹病率が高く約60~80%の人間はその生涯に1度は腰痛を経験し, 20~30%の人は数回の腰痛を経験するといわれている. そのため日常診療において腰痛を主訴として外来を受診する患者は多い. 急性腰痛症の大部分は自然治癒されるが1, 慢性腰痛症に移行するものもある. 2003年に腰痛を主訴に当科外来を受診した449例を対象にアンケート調査を行い, 1年後に腰痛が消失していた症例は34%, 腰痛が遺残し治療を受けていた症例は30%という結果を得た2. また, 一口に腰痛といってもその原因は様々で, 自然に軽快するものも多いが, 放置すると重篤な障害を残すものもある. ここでは腰痛の概略, 椎間板ヘルニアを中心に述べる. 腰痛の種類 腰痛を診る上で原因により次の3つに分けると, わかりやすい. (1)体性痛(somatic pain), (2)根性痛(radicular pain), (3)その他の痛みである. 体性痛は通常良く遭遇するもので, 腰椎の筋, 骨組織に由来する腰痛であり, いわゆる腰痛症や, 筋筋膜性腰痛, 腰椎捻挫などである.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.2.42