肝動脈塞栓療法可能な門脈腫瘍栓合弁肝細胞癌の一例 海綿状血管増生形成の意義

症例, 77歳, 男性.昭和61年12月当科にて慢性肝炎, 肝細胞癌 (HCC) と診断され, 以後4回の肝動脈塞栓療法 (TAE) を施行した.平成2年3月肝腫瘍径増大を認め入院となったが, 腹痛と血性腹水を認めHCC破裂と診断した.腹部超音波検査にて門脈腫瘍栓による門脈本幹の閉塞が認められたがカラードプラ断層法で門脈周囲に海綿状血管増生 (CTPV) を認めTAEを施行した.術後肝不全を来たすことはなかったが, HCCの再破裂にて死亡した.TAEはHCCに対する治療法として広く行われているが門脈本幹が腫瘍栓で閉塞している場合は適応外となる.しかし, 本例のように門脈閉塞が見られるときにもC...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 51; no. 6; pp. 683 - 686
Main Authors 米山, 啓一郎, 高山, 昇, 秋田, 泰, 石井, 誠, 西田, 均, 南沢, 佐代子, 井上, 徹也, 八田, 善夫, 高橋, 正一郎, 水野, 健朗, 手塚, 貴志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.12.1991
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.51.683

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Summary:症例, 77歳, 男性.昭和61年12月当科にて慢性肝炎, 肝細胞癌 (HCC) と診断され, 以後4回の肝動脈塞栓療法 (TAE) を施行した.平成2年3月肝腫瘍径増大を認め入院となったが, 腹痛と血性腹水を認めHCC破裂と診断した.腹部超音波検査にて門脈腫瘍栓による門脈本幹の閉塞が認められたがカラードプラ断層法で門脈周囲に海綿状血管増生 (CTPV) を認めTAEを施行した.術後肝不全を来たすことはなかったが, HCCの再破裂にて死亡した.TAEはHCCに対する治療法として広く行われているが門脈本幹が腫瘍栓で閉塞している場合は適応外となる.しかし, 本例のように門脈閉塞が見られるときにもCTPVの形成を伴う場合には肝内門脈血流が保たれるためTAE施行が可能であった.また, CTPVの診断に超音波カラードプラ断層法が有用であった.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.51.683