臨床 先天性僧帽弁閉鎖不全症の手術治療 特にReed法による弁輪形成術について

先天性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に保存的手術を行う場合には, 弁の生常に対応した術式が要求され, 一般に手技が複雑になる.この観点から著者らは手技の単純化を目的にReed法による弁輪形成術を試みた.症例は9カ月から5歳5カ月の5例で, 孤立性MRは2例,心奇形合併MRは3例であった.後尖の退縮と弁輪の拡大による相対的な弁尖面積不足は4例,腱索延長による後尖の逸脱は1例であった.手術は両交連部にmattress縫合を置き,弁輪周囲が大略前尖側で4cm,後尖側で2cmになるように縫縮し, 弁輪径を1.8~2cmとした. 心不全,肺炎で1例を失ったが,剖検で心内膜線維弾性症と後交連の縫縮部の組織断裂を...

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Published in心臓 Vol. 14; no. 2; pp. 184 - 192
Main Authors 西村, 和典, 片桐, 幹夫, 入沢, 敬夫, 折田, 博之, 今井, 高二, 佐藤, 徹, 磯田, 昇, 佐藤, 哲雄, 石原, 良, 白田, 保夫, 石原, 融, 中村, 千春, 鷲尾, 正彦, 星, 永進, 小林, 稔, 佐藤, 佳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 25.02.1982
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.14.2_184

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Summary:先天性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に保存的手術を行う場合には, 弁の生常に対応した術式が要求され, 一般に手技が複雑になる.この観点から著者らは手技の単純化を目的にReed法による弁輪形成術を試みた.症例は9カ月から5歳5カ月の5例で, 孤立性MRは2例,心奇形合併MRは3例であった.後尖の退縮と弁輪の拡大による相対的な弁尖面積不足は4例,腱索延長による後尖の逸脱は1例であった.手術は両交連部にmattress縫合を置き,弁輪周囲が大略前尖側で4cm,後尖側で2cmになるように縫縮し, 弁輪径を1.8~2cmとした. 心不全,肺炎で1例を失ったが,剖検で心内膜線維弾性症と後交連の縫縮部の組織断裂を認めた.他の4例では明らかなMRの軽減が認められたが,腱索欠損で前尖中央部の逸脱の1例では手術効果がやや不充分であった. Reed法は手技が単純で,しかも手術操作の試行錯誤が回避し得る利点があることを認めた.本法を中心に弁形成術について検討を重ね,手術成績の向上を計りたいと考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.14.2_184