X線コンピューター断層撮影法による人体皮下脂肪層の研究I III胸骨角部断面の体構成について

胸骨角部のCT写真105例 (男性: 61, 女性: 44) について, 皮下脂肪層, 骨筋層及び胸腔の各断面積, 脂肪の厚さ及び胸郭径の計測を行い, 性, 年齢による変化を検討して次のような結果を得た. 1.胸骨角部断面の体構成について見ると, 脂肪層は男性6.8~18.3%, 女性11.2~30.2%, 骨筋層は男性29.7~42.5%, 女性29.5~36.6%, 胸腔は男性41.7~59.2%, 女性33.2~55.7%で脂肪層は女性が他は男性がそれぞれ他よりも優る傾向を示した.2.男女の総断面積の最も大の年代について体構成を見ると, 男性の30歳代では脂肪層と骨筋層が, 60歳代では...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 45; no. 2; pp. 237 - 245
Main Author 門脇, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.04.1985
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.45.237

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Summary:胸骨角部のCT写真105例 (男性: 61, 女性: 44) について, 皮下脂肪層, 骨筋層及び胸腔の各断面積, 脂肪の厚さ及び胸郭径の計測を行い, 性, 年齢による変化を検討して次のような結果を得た. 1.胸骨角部断面の体構成について見ると, 脂肪層は男性6.8~18.3%, 女性11.2~30.2%, 骨筋層は男性29.7~42.5%, 女性29.5~36.6%, 胸腔は男性41.7~59.2%, 女性33.2~55.7%で脂肪層は女性が他は男性がそれぞれ他よりも優る傾向を示した.2.男女の総断面積の最も大の年代について体構成を見ると, 男性の30歳代では脂肪層と骨筋層が, 60歳代では胸腔がそれぞれ他の年代よりも著しく大であり, また, 女性の40歳代では脂肪層, 骨筋層及び胸腔のすべてにおいて他の年代よりも大で, 特に骨筋層が著しかった.3.体構成分各々について年代別に比較すると, 男性では脂肪層と骨筋層は30歳代迄増加, 以後減少する傾向を示したが, 胸腔は40歳代迄減少, 以後増加し, 比率もこれと平行する傾向を示した.これに対して, 女性では脂肪層と骨筋層は30歳代から増加, 前者は50歳代で, 後者は40歳代でそれぞれ最高に達し, 比率は前者は実測値に平行するが, 後者は40歳代迄は高く, その後は低く, また, 胸腔は30歳代, 40歳代で最大であったが, 比率は40歳代で最低となった.4.断面における皮下脂肪厚は男性では20歳代から50歳代では後正中線部が最も厚く, 60歳代, 70歳代では乳頭線部が最も厚かったが, 女性では乳頭線部も厚い年代が多かった.また, 男性では60歳代が, 女性では50歳代が最も厚くなる傾向が見られた.5.胸郭の矢状径及び横径については, 男性では矢状径は30歳代, 50歳代, 60歳代で増加して最高に達し, 前矢状径もこれに平行したが, 後矢状径は40歳代と50歳代が最も厚かった.また, 横径は20歳代と30歳代で増加して最大となり, 比率も最高であった.これに対して女性では矢状径は30歳代, 40歳代で増加して最大となり, 前矢状径と後矢状径はともにこれに平行したが, 横径は30歳代が最大で, 以後減少の傾向を示した.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.45.237