臨床 心臓サルコイドーシスの組織診断率について 心内膜心筋生検による検討

心臓サルコイドーシス(心サ症)は予後不良例が多く,ステロイド治療を考える上でも,より早期の生前診断が重要となる.しかしながら,心サ症の多数例について,生検診断率を検討した報告はみられない.そこで今回,本症の心生検による組織診断率を検討した. 『サルコイドーシスの診断基準』に基づき,本症と診断され,心電図異常,心臓核医学検査異常,左室壁運動異常などを示し,心サ症が強く疑われた26例を対象に,右室心内膜心筋生検を施行した.1例あたりの採取個数は平均4.0個で,各症例毎に,組織学的に心サ症と確定診断されるか否か検討した.26例のうち,乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められ,心サ症と組織診断され...

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Published in心臓 Vol. 29; no. 9; pp. 756 - 760
Main Authors 平光, 伸也, 菱田, 仁, 加藤, 靖周, 寺澤, 正恭, 久保, 奈津子, 植村, 晃久, 清水, 恵輔, 吉田, 幸彦, 森本, 紳一郎, 木村, 勝智, 山田, 健二, 加藤, 茂, 伊藤, 昭男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.1997
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.29.9_756

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Summary:心臓サルコイドーシス(心サ症)は予後不良例が多く,ステロイド治療を考える上でも,より早期の生前診断が重要となる.しかしながら,心サ症の多数例について,生検診断率を検討した報告はみられない.そこで今回,本症の心生検による組織診断率を検討した. 『サルコイドーシスの診断基準』に基づき,本症と診断され,心電図異常,心臓核医学検査異常,左室壁運動異常などを示し,心サ症が強く疑われた26例を対象に,右室心内膜心筋生検を施行した.1例あたりの採取個数は平均4.0個で,各症例毎に,組織学的に心サ症と確定診断されるか否か検討した.26例のうち,乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が認められ,心サ症と組織診断されたのは5例(19.2%)のみであった.なお,拡張型心筋症様病像を呈した11例では,4例(36.4%)が組織診断されたのに対し,刺激伝導障害が主体で左室駆出率が正常範囲内の15例では,1例(6.7%)が組織診断されたのみであった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.29.9_756