高齢者の下肢筋肉量 運動習慣の有無による比較
【目的】高齢者において習慣的に運動を行うことは,下肢筋力を維持し,廃用症候群の予防に重要である.今回,運動習慣の有無によって,下肢の筋肉量が異なるかを検討した. 【対象】60才以上の健康な男女(以下高齢者)79名を対象とした.対象をシニア女子バレーボールチーム(以下バレー群)10名(67.4±2.9歳),男子野球チーム(以下野球群)12名(65.8±3.7歳),運動習慣のない女子コントロール群(以下F対照群)23名(64.8±4.9歳),男子コントロール群(以下M対照群)34名(67.4±4.3歳)に分けた. 【方法】全例に対し下肢全長のMRIを撮像して,3次元モデル化解析ソフト(LEXI社製...
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          | Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 38 | 
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| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
    
        2006
     | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0916-9946 2187-123X  | 
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.25.0.38.0 | 
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| Summary: | 【目的】高齢者において習慣的に運動を行うことは,下肢筋力を維持し,廃用症候群の予防に重要である.今回,運動習慣の有無によって,下肢の筋肉量が異なるかを検討した. 【対象】60才以上の健康な男女(以下高齢者)79名を対象とした.対象をシニア女子バレーボールチーム(以下バレー群)10名(67.4±2.9歳),男子野球チーム(以下野球群)12名(65.8±3.7歳),運動習慣のない女子コントロール群(以下F対照群)23名(64.8±4.9歳),男子コントロール群(以下M対照群)34名(67.4±4.3歳)に分けた. 【方法】全例に対し下肢全長のMRIを撮像して,3次元モデル化解析ソフト(LEXI社製:ZED VIEW)で下肢筋肉量を求めた.大腿および下腿の最大周径横断面における筋肉率と下肢筋肉量について,バレー群・F対照群間,野球群・M対照群間で比較検討した.統計的処理は,t検定を行い有意水準を5%とした. 【結果】大腿最大横断面積に対する筋肉の占める率では,バレー群51.8±8.2%,F対照群48.5±6.4%,野球群71.8±5.2%,M対照群68.4±6.3%で,バレー群,野球群とも対照群より高かったが統計的な有意差は認められなかった.下腿最大横断面積に対する筋肉の占める率では,バレー群64.4±6.6%,F対照群60.7±6.5%,野球群70.4±4.5%,M対照群71.3±5.4%で,バレー群・F対照群間,野球群・M対照群間において統計的な有意差は認められなかった.下肢筋肉量では,バレー群6.9±1.4kg,F対照群5.6±1.0kg,野球群9.1±1.3kg,M対照群8.2±1.2kgで,バレー群,野球群とも対照群より有意に多い結果であった. 【考察】以上の結果より,大腿および下腿での最大横断面積の筋肉率の比較では,骨の太さなど筋肉以外の組織に影響されるため,バレー群・F対照群間,野球群・M対照群間において差を認めなかったと考えられた.しかし下肢筋肉量では明らかに差を認め,バレー群,野球群は対照群より有意に多く,定期的に運動を行っているため下肢筋力の維持ができていると考えられた.関節症などの予防においては,下肢の筋肉量が多くても実際の生活の場で筋力を発揮できるかが重要である.高齢者において下肢筋肉量がどの程度下肢筋力に反映しているのかを確認することが求められ,今後は,大腿四頭筋と屈筋などの個々の筋肉において,筋肉量と筋力の関係などの検討が必要と考える. | 
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| Bibliography: | 38 | 
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X  | 
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.25.0.38.0 |