肥大型心筋症における左室収縮動態 心筋交感神経活性との関連
われわれはHCMの症例での左室収縮動態を99mTc-MIBIによる心電図同期心筋断層像を用いて検討した。心筋交感神経活性の影響をみるため, これらの所見をMIBG心筋イメージングと対比した。 gated-SPECTを11例のHCM, 13例の健常例で施行した。左室の各部での収縮様式を評価するため, 多方向長軸断層を作成し, 左室を17の区域に区分した。各区域で収縮に伴うカウントの変化 (%CC) が計測された, そして相対応する区域での健常例の%CCと比較した。収縮の不均一の指標として各症例17区域でのR波から最大収縮までの時間の標準偏差 (SD) を計測した。HCMでは安静時にMIBGイメー...
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Published in | RADIOISOTOPES Vol. 46; no. 2; pp. 81 - 91 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本アイソトープ協会
15.02.1997
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ISSN | 0033-8303 1884-4111 |
DOI | 10.3769/radioisotopes.46.81 |
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Summary: | われわれはHCMの症例での左室収縮動態を99mTc-MIBIによる心電図同期心筋断層像を用いて検討した。心筋交感神経活性の影響をみるため, これらの所見をMIBG心筋イメージングと対比した。 gated-SPECTを11例のHCM, 13例の健常例で施行した。左室の各部での収縮様式を評価するため, 多方向長軸断層を作成し, 左室を17の区域に区分した。各区域で収縮に伴うカウントの変化 (%CC) が計測された, そして相対応する区域での健常例の%CCと比較した。収縮の不均一の指標として各症例17区域でのR波から最大収縮までの時間の標準偏差 (SD) を計測した。HCMでは安静時にMIBGイメージング (initial, delayed) , Tlイメージングを施行した。心筋交感神経活性の指標として次のパラメータを計測した。 (1) Uptake Ratio は MIBG (delayed image) の% Uptake のTlの% Uptake に対する比, (2) %WOはinitial image, delayed imageでのMIBG活性の変化率, (3) MIBG分布の不均一性はdelayed imageでのMIBGのCV, (4) Defect Score はdelayed imageでのMIBGの欠損の広がり。 HCMの187区域中87区域 (47%) で%CCの低下が見られた, そしてこの区域は主として肥大部 (心尖部, 中隔, 前壁) に存在した。HCMにおける収縮の不均一性 (SD) は健常例より大であった (5.4±1.4vs.3.5±0.6, p<0.01) 。HCMにおいてUptake Ratio, %WOは%CCの低下区域数と相関しなかったが, CV, Defect Scoreは%CCの低下区域数と相関を示した (r=0.56, r=0.63, おのおのp<0.05) 。 %CCの異常は主として心尖部, 中隔, 前壁に見られたがMIBGの欠損は主として下壁に見られた。他方, SDはMIBGの指標とよく相関した (Uptake Ratioとr=-0.68, p<0.05, %WOとr=0.78, p<0.78, CVとr=0.63, p<0.05, Defect Scoreとr=0.78, p<0.01) 。SDは左室の早期拡張期充満指標とも負の相関を示した (r=-0.79, p<0.01) 。これらの所見はHCMにおける不均一収縮は心筋交感神経活性と緊密に関連し, HCMでしばしば見られる拡張期充満異常の一因と考えられた。gated-SPECTはHCMのpathophysiologyに対する重要な情報をもたらす。 |
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ISSN: | 0033-8303 1884-4111 |
DOI: | 10.3769/radioisotopes.46.81 |