4.腎神経デナベーションのトランスレーショナルリサーチ

従来から, 本態性高血圧の成因における交感神経活動の亢進の重要性は数多くの研究から明らかにされてきた. 腎臓においては, 腎虚血, 低酸素, 腎実質障害により求心性の腎交感神経の活動が亢進し, 脳内では最終的に頭側延髄腹外側野ニューロン活性化から遠心性の腎交感神経を介して血圧がさらに上昇するという悪循環が形成されていることが知られている. 基礎研究においては, 腎神経を物理的・化学的に切断することにより交感神経活動の亢進を抑制し, 高血圧のみならず, それによる様々な全身の臓器での循環制御や臓器障害が改善されることがしめされている. 我々も様々な高血圧モデル動物を用いた基礎研究で, 腎神経の切...

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Published in循環制御 Vol. 40; no. 3; pp. 164 - 166
Main Authors 辻田, 賢一, 山本, 英一郎, 中村, 太志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 20.12.2019
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ISSN0389-1844

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Summary:従来から, 本態性高血圧の成因における交感神経活動の亢進の重要性は数多くの研究から明らかにされてきた. 腎臓においては, 腎虚血, 低酸素, 腎実質障害により求心性の腎交感神経の活動が亢進し, 脳内では最終的に頭側延髄腹外側野ニューロン活性化から遠心性の腎交感神経を介して血圧がさらに上昇するという悪循環が形成されていることが知られている. 基礎研究においては, 腎神経を物理的・化学的に切断することにより交感神経活動の亢進を抑制し, 高血圧のみならず, それによる様々な全身の臓器での循環制御や臓器障害が改善されることがしめされている. 我々も様々な高血圧モデル動物を用いた基礎研究で, 腎神経の切離により酸化ストレス(ROS)の抑制と血管内皮機能が改善し, 心筋肥大や線維化も抑制されることを明らかにしている.
ISSN:0389-1844