出血性膵仮性嚢胞の破裂による腹腔内出血の1例

症例は65歳,男性.飲酒歴:日本酒2合/日. 5カ月前に近医で膵尾部の仮性嚢胞を指摘された.上腹部痛のため近医を受診し,腹腔内出血と診断され当院に紹介された.腹部CTで肝脾周囲の血性腹水,胃体部大彎・後壁~膵尾部の血腫,慢性膵炎による膵臓の石灰化を認めた.血管造影では仮性動脈瘤や造影剤の血管外漏出を認めなかった.腹腔穿刺で血性腹水を確認し,慢性膵炎に合併した膵仮性嚢胞の破裂による腹腔内出血と診断し緊急開腹術を施行した.開腹時,約900mlの腹腔内出血が存在し,膵尾部~胃体部大彎・後壁~脾臓~横行結腸間膜の間に血腫と嚢胞を認め,癒着のため一塊になっていた.膵尾部の嚢胞壁から出血を認めたため,膵尾...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 12; pp. 3053 - 3057
Main Authors 杉本, 誠一郎, 市原, 周治, 太田, 徹哉, 清水, 信義, 内藤, 稔, 村上, 正和
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.3053

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Summary:症例は65歳,男性.飲酒歴:日本酒2合/日. 5カ月前に近医で膵尾部の仮性嚢胞を指摘された.上腹部痛のため近医を受診し,腹腔内出血と診断され当院に紹介された.腹部CTで肝脾周囲の血性腹水,胃体部大彎・後壁~膵尾部の血腫,慢性膵炎による膵臓の石灰化を認めた.血管造影では仮性動脈瘤や造影剤の血管外漏出を認めなかった.腹腔穿刺で血性腹水を確認し,慢性膵炎に合併した膵仮性嚢胞の破裂による腹腔内出血と診断し緊急開腹術を施行した.開腹時,約900mlの腹腔内出血が存在し,膵尾部~胃体部大彎・後壁~脾臓~横行結腸間膜の間に血腫と嚢胞を認め,癒着のため一塊になっていた.膵尾部の嚢胞壁から出血を認めたため,膵尾部切除・脾摘術を施行した.術後経過は良好で術後36日目に退院した.膵仮性嚢胞内出血の破裂による腹腔内出血は非常に稀であり,本例を含めた本邦報告例17例を検討し報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.3053