研究 肥満と血圧値との関連性について 人間ドック受診者6,163例の性別および年代別分析

肥満と高血圧症との関連については数多くの疫学的研究があり,肥満度と血圧値の間に有意な正の相関を有すると報告されている.しかし,性別および年代別の検討は少なく,それらの差異についての言及もほとんどない.今回肥満度と血圧値との相関係数(r)や回帰直線の傾き(a)を男女および年代別に検討した.肥満度と収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP),平均血圧(MBP)とのrは性・年代で分けたどの群においても「正」の値を示し,男女とも概ね年代ごとに高くなり一部を除き有意性を認めた.またaは概ね男女とも加齢とともに大となり,特に男性のSBPにおいて明らかであった.一方DBP,MBPにおいては男性では60歳代,...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 1; pp. 10 - 17
Main Authors 明石, 宜博, 青山, 隆彦, 河合, 邦夫, 山崎, 義亀與, 嵯峨, 孝, 木藤, 知佳志, 斉藤, 和哉, 平井, 淳一, 若杉, 隆伸, 竹越, 忠美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.1993
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.1_10

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Summary:肥満と高血圧症との関連については数多くの疫学的研究があり,肥満度と血圧値の間に有意な正の相関を有すると報告されている.しかし,性別および年代別の検討は少なく,それらの差異についての言及もほとんどない.今回肥満度と血圧値との相関係数(r)や回帰直線の傾き(a)を男女および年代別に検討した.肥満度と収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP),平均血圧(MBP)とのrは性・年代で分けたどの群においても「正」の値を示し,男女とも概ね年代ごとに高くなり一部を除き有意性を認めた.またaは概ね男女とも加齢とともに大となり,特に男性のSBPにおいて明らかであった.一方DBP,MBPにおいては男性では60歳代,女性では50歳代で他の年代と比べて小さな値を示した.また各年代ごとに男女間のaを検討すると,50歳代を除き女性の方が高い値を示していたが,有意性は40歳代・50歳代・60歳代のSBPではなく,DBPでは認められ,MBPでは一様でなかった.以上,血圧上昇に及ぼす肥満の影響が性,年代により異なる可能性を示し,肥満と高血圧症との関係をみる場合,男女および年代別に検討すべきと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.1_10