IV型コラーゲンα3鎖欠損マウスの歯胚形成におけるα鎖の消長

基底膜の主要な構成成分であるIV型コラーゲンは, α1からα6うちの3本のα鎖で構成されているヘテロトリマーで, α鎖の構成に臓器特異性があることが知られている. また近年, 基底膜は歯胚形成における情報伝達の重要な場であると考えられている. 本研究では, 正常マウスおよびα3鎖欠損マウスを用いIV型コラーゲンα1~6鎖の歯胚の各発育段階における局在の変化を観察した. [材料および方法]実験動物にはICR系マウスおよびIV型コラーゲンα3鎖欠損マウスを用い, 胎生12日(肥厚期), 胎生13日(蕾状期), 胎生14日, 15日(帽状期), 生後1日(鐘状期)の下顎第1臼歯歯胚について検索を行っ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 404
Main Authors 井上正久, 中野敬介, 藤井英貴, 玉村亮, 永井教之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:基底膜の主要な構成成分であるIV型コラーゲンは, α1からα6うちの3本のα鎖で構成されているヘテロトリマーで, α鎖の構成に臓器特異性があることが知られている. また近年, 基底膜は歯胚形成における情報伝達の重要な場であると考えられている. 本研究では, 正常マウスおよびα3鎖欠損マウスを用いIV型コラーゲンα1~6鎖の歯胚の各発育段階における局在の変化を観察した. [材料および方法]実験動物にはICR系マウスおよびIV型コラーゲンα3鎖欠損マウスを用い, 胎生12日(肥厚期), 胎生13日(蕾状期), 胎生14日, 15日(帽状期), 生後1日(鐘状期)の下顎第1臼歯歯胚について検索を行った. α鎖の検索は間接蛍光抗体法で行った. [結果]α1, α2鎖は共に全てのステージの歯胚の基底膜に認められた. 正常マウスでは, α3, α4, α5鎖は肥厚期から帽状期に認められ, 帽状期の後期にα3, α5鎖が消失した. 鐘状期ではα4のみが内エナメル上皮の基底膜に限局して認められた. [考察]歯胚分化の過程および特定の部位でα鎖の消長力が認められた. 特に初期歯胚ではα3, 4, 5鎖が, 後期歯胚の内エナメル上皮にα4のみが局在したことから, α鎖の局在に時期特異性があり, 歯胚の分化との関連性が示唆された.
ISSN:0385-0137