急性期脳合併症を伴う感染性心内膜炎に対する体外循環の工夫

「要旨」急性期脳合併症(CVA)を伴う感染性心内膜炎(IE)症例に対する緊急手術では, 体外循環(ECC)を使用することで術後脳合併症の増悪が危惧される. 人工心肺回路にヘパリンコーティング(HC)回路を使用し, 静脈血貯血槽(VR)内にのみ少量のヘパリンを持続投与するECCを行った3例を経験したので報告する. 症例は全て急性期CVAを合併した大動脈弁位IEに対して大動脈弁置換術を行った. 2症例でVR一体型人工肺のみHCではなかったが, 送脱血管を含めHCされた回路を使用した. VR内へのヘパリン持続投与量は, 500~750IU/hとし, 活性化凝固時間(ACT)を20分間隔で測定し, 2...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 4; pp. 517 - 519
Main Authors 松本景史, 久保博, 勝賀瀬朗, 三沼英彦, 今西あさ美, 高木淳史, 宇野真一, 與古光猛, 藤井弘通, 笹子佳門
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.12.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」急性期脳合併症(CVA)を伴う感染性心内膜炎(IE)症例に対する緊急手術では, 体外循環(ECC)を使用することで術後脳合併症の増悪が危惧される. 人工心肺回路にヘパリンコーティング(HC)回路を使用し, 静脈血貯血槽(VR)内にのみ少量のヘパリンを持続投与するECCを行った3例を経験したので報告する. 症例は全て急性期CVAを合併した大動脈弁位IEに対して大動脈弁置換術を行った. 2症例でVR一体型人工肺のみHCではなかったが, 送脱血管を含めHCされた回路を使用した. VR内へのヘパリン持続投与量は, 500~750IU/hとし, 活性化凝固時間(ACT)を20分間隔で測定し, 250秒を超えないようにした. 血液吸引は自己血回収装置を使用し, 血流の停滞を起こさないように注意した. 肉眼的血栓形成はVR内フィルター, 心腔内貯血槽フィルターには認められたものの, 人工肺や動脈フィルター内には認められなかった. 本法で施行したECCでは, 術後明らかな脳合併症状の増悪, 塞栓症状は認めず, 急性期CVAを伴うIEに対して有用であると思われた.
ISSN:0912-2664