食道憩室を伴った先天性食道左気管支瘻の1例

食道憩室を伴った先天性食道気管支瘻の1例を経験した. 症例は53歳の男性で, 人間ドックで上部消化管造影を行ったところ, 食道憩室気管支瘻を認めた. これは, 胸部中部食道左側に憩室を認め, 憩室底より左肺下葉の気管支が造影されていた. 食道内視鏡では, 胸部食道に食道憩室があり底部に瘻孔開口部を認め, 気管支鏡では, 瘻管の開口部は確認できなかったが, 食道内チューブより色素を注入し左B6付近からの色素の流出を認めた 手術は食道憩室と瘻管の切除を行った. 病理学的には, 瘻管の内腔の大部分は重層扁平上皮で被われ平滑筋を伴い, 辺縁の一部に多列線毛上皮が見られ, 両者には移行像も認められた....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 10; pp. 2080 - 2084
Main Authors 八十川, 要平, 西, 八嗣, 比企, 能樹, 柿田, 章, 立石, 晋, 本告, 匡, 田所, 文彦, 鈴木, 哲太郎, 近藤, 康史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.10.1998
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.31.2080

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Summary:食道憩室を伴った先天性食道気管支瘻の1例を経験した. 症例は53歳の男性で, 人間ドックで上部消化管造影を行ったところ, 食道憩室気管支瘻を認めた. これは, 胸部中部食道左側に憩室を認め, 憩室底より左肺下葉の気管支が造影されていた. 食道内視鏡では, 胸部食道に食道憩室があり底部に瘻孔開口部を認め, 気管支鏡では, 瘻管の開口部は確認できなかったが, 食道内チューブより色素を注入し左B6付近からの色素の流出を認めた 手術は食道憩室と瘻管の切除を行った. 病理学的には, 瘻管の内腔の大部分は重層扁平上皮で被われ平滑筋を伴い, 辺縁の一部に多列線毛上皮が見られ, 両者には移行像も認められた. この疾患は本例を含め本邦では55例が報告されているが左気管支と交通する例は珍しく本例は8例めの報告である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.31.2080