希少野生動物(トキ)飼育繁殖施設の獣医師
トキは江戸時代には北海道から九州まで広く分布が確認されていたが, 明治時代以降, 乱獲や生息環境の悪化により生息数が激減し, 1981年に日本の野生下から姿を消した. 2003年には野生下から保護した最後の日本産の個体も死亡した. 1900年代初頭には中国や朝鮮半島, ロシア, 台湾でも生息が確認されていたが, その半ば以降に生息数が減少し, これらの国々でも絶滅したと考えられていた. しかし, 中国で1981年に7羽のトキが再発見され, 中国政府の保護のもと個体数を回復し, 2010年現在, 野生個体も含め約1,600羽が生存している. 1999年, 日本はこの中国から1ペアのトキを導入し,...
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| Published in | Japanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 5 - 6 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本野生動物医学会
01.03.2012
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1342-6133 |
Cover
| Summary: | トキは江戸時代には北海道から九州まで広く分布が確認されていたが, 明治時代以降, 乱獲や生息環境の悪化により生息数が激減し, 1981年に日本の野生下から姿を消した. 2003年には野生下から保護した最後の日本産の個体も死亡した. 1900年代初頭には中国や朝鮮半島, ロシア, 台湾でも生息が確認されていたが, その半ば以降に生息数が減少し, これらの国々でも絶滅したと考えられていた. しかし, 中国で1981年に7羽のトキが再発見され, 中国政府の保護のもと個体数を回復し, 2010年現在, 野生個体も含め約1,600羽が生存している. 1999年, 日本はこの中国から1ペアのトキを導入し, この2羽を創始ペアとして新潟県佐渡トキ保護センターで繁殖を行い, その後も3羽の個体を中国から導入しながら現在は200羽程度まで個体数が増加した. さらに野生復帰の取組みとして2008年9月から佐渡島内で放鳥を開始している. また高病原性鳥インフルエンザなどによる危険分散のため, 現在, 佐渡以外にも多摩動物公園, いしかわ動物園, 出雲市トキ分散飼育センターの3か所で飼育をしている. |
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| ISSN: | 1342-6133 |