16歳で根治術を行った右肺動脈上行大動脈起始症の1例

症例は16歳, 女子. 小児期に心雑音を指摘されたことがあったが, 症状がないため放置されていた. 16歳で心電図異常を指摘され精査を行い右肺動脈上行大動脈起始症, 動脈管開存症と診断した. 高度の肺高血圧症を伴っていたため右肺の生検を含めた精査を行い手術適応を決定した. 手術は右肺動脈と肺動脈本幹の吻合, 動脈管の離断を行った. 術後肺動脈圧は低下したが中等度の肺高血圧は残存している. 今後の厳重な経過観察が必要と考えている. 右肺動脈上行大動脈起始症はまれであるが, 生後間もなくから肺高血圧症, 心不全を来す予後不良な先天性心疾患であり, その治療の原則は肺血管病変の進行する前の乳児期早期...

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Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 4; pp. 380 - 384
Main Authors 杭ノ瀬昌彦, 種本和雄, 村上貴志, 金岡祐司, 小林元壮, 真壁幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.04.1998
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ISSN1344-4964

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Summary:症例は16歳, 女子. 小児期に心雑音を指摘されたことがあったが, 症状がないため放置されていた. 16歳で心電図異常を指摘され精査を行い右肺動脈上行大動脈起始症, 動脈管開存症と診断した. 高度の肺高血圧症を伴っていたため右肺の生検を含めた精査を行い手術適応を決定した. 手術は右肺動脈と肺動脈本幹の吻合, 動脈管の離断を行った. 術後肺動脈圧は低下したが中等度の肺高血圧は残存している. 今後の厳重な経過観察が必要と考えている. 右肺動脈上行大動脈起始症はまれであるが, 生後間もなくから肺高血圧症, 心不全を来す予後不良な先天性心疾患であり, その治療の原則は肺血管病変の進行する前の乳児期早期の根治手術である1)~5). 今回われわれは, 16歳で根治手術を施行した特異な右肺動脈上 行大動脈起始症を経験したので報告する. 症例 患者:16歳, 女性. 主訴:労作時息切れ.
ISSN:1344-4964