保険診療と顎変形症

歯科矯正治療においては, 長く自費診療のみが行われてきたが, 昭和57年に「唇顎口蓋裂を伴う不正咬合」に対して保険診療が認められ, 平成8年には「顎変形症(顎離断などの手術を必要とするものに限る)の手術前後における療養(矯正歯科治療)」に対しても保険診療が認められるに至っている. さらに平成14年以降, 唇顎口蓋裂以外の一部の先天異常に起因する不正咬合にも少しずつではあるが保険診療の適応が拡大してきている(表1). このように, 自費診療が中心であった歯科矯正治療も, 一部の疾患に起因する咬合異常では保険給付の対象となった. 大学病院などでは, すでに半数程度が保険診療対象の患者で占められてい...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 336 - 337
Main Author 飯田順一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.12.2010
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ISSN0916-7048

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Summary:歯科矯正治療においては, 長く自費診療のみが行われてきたが, 昭和57年に「唇顎口蓋裂を伴う不正咬合」に対して保険診療が認められ, 平成8年には「顎変形症(顎離断などの手術を必要とするものに限る)の手術前後における療養(矯正歯科治療)」に対しても保険診療が認められるに至っている. さらに平成14年以降, 唇顎口蓋裂以外の一部の先天異常に起因する不正咬合にも少しずつではあるが保険診療の適応が拡大してきている(表1). このように, 自費診療が中心であった歯科矯正治療も, 一部の疾患に起因する咬合異常では保険給付の対象となった. 大学病院などでは, すでに半数程度が保険診療対象の患者で占められている施設もある. こうした施策は, 昨今の歯並びや噛み合わせに対する成人の意識の高さなどから, 特に顎変形症を伴う不正咬合を有する患者の近年の増加傾向を促しているものと考えられる. 顎変形症に起因する不正咬合に対する外科的矯正治療は, 顎骨のアンバランスそのものを外科的に改善できる事から, 根本治療としてとらえられ, 本疾患によって咀嚼障害や発音障害といった機能障害を有する患者にとっては, 大きな福音となっている.
ISSN:0916-7048