救急医療の現状と問題点

医療の専門化高度化が進む中, 救急研修が卒後臨床研修の必修科目に組み込まれました. こうして初期治療の必要性, 重要性が再認識される中で, 実際の救急医療の現状はどうでしょうか. 従来の救急医療は, 一次から三次救急という枠組みの中でおこなわれてきましたが, はたしてうまく稼動しているのでしょうか. 実際の医療現場では, 感冒や軽い外傷患者さんが三次医療機関を受診するという状況が多々見受けられます. また, 救急医療において, 特に高度の入院治療を必要とする患者さんを受け入れている施設では, 病床の確保も極めて重要なことですが, 比較的軽症の患者さんによって病床がうまってしまうというようなこと...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 3; p. 276
Main Author 根岸正敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:医療の専門化高度化が進む中, 救急研修が卒後臨床研修の必修科目に組み込まれました. こうして初期治療の必要性, 重要性が再認識される中で, 実際の救急医療の現状はどうでしょうか. 従来の救急医療は, 一次から三次救急という枠組みの中でおこなわれてきましたが, はたしてうまく稼動しているのでしょうか. 実際の医療現場では, 感冒や軽い外傷患者さんが三次医療機関を受診するという状況が多々見受けられます. また, 救急医療において, 特に高度の入院治療を必要とする患者さんを受け入れている施設では, 病床の確保も極めて重要なことですが, 比較的軽症の患者さんによって病床がうまってしまうというようなこともあり, 本当に重症な患者さんを受け入れられないというような状況もあるようです. 一次から三次という枠組みは現状には合わないのでしょうか. 現状では一次から三次医療機関のすみわけがうまくいっていないように思われます. 一般市民への広報なども必要ですし, また各医療機関での連携も重要と考えられます. 最近ではいわゆる北米型ERを展開する施設も増えつつあるようですが, それなりのマンパワーが必要であり, 単純に優劣を評価することは困難ですが, 何らかの改善策が必要と考えられます. 救急医療の目指すところは, すべての患者さんに一定レベルの医療を提供することかと思われますが, 現状では多くの問題点があるようです. 現状と問題点を明らかにすることが今後の新たな救急医療の展開につながるものと考えられます. このワークショップでは, 一次から三次までの医療機関の代表者に, 現状と問題点を提示していただき, 救急医療の今後の進むべき方向について検討したいと考えております.
ISSN:1343-2826