フィブリノゲン製剤等の適正使用に対する提言

2012年6巻の総論で山本は, 産科的出血の病態は止血血栓形成に不可欠なフィブリノゲンが「枯渇」した病態であり, それ故フィブリノゲン製剤等を使用すべきとしている1). 確かに産科的出血に限らず, 大量出血時にはフィブリノゲンは低下する. また, フィブリノゲンが止血血栓形成には必要不可欠であることも明らかであり, その補正が止血に有効な症例も存在するであろう. しかし総説に記載してある様にフィブリノゲンは「枯渇」するほど低下するのであろうか. 辞書によると「枯渇」とは「物が尽きてなくなること」とある. しかし総論で提示してある症例の様に, フィブリノゲンは低下するが「枯渇」(数mg/dl以下...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 59; no. 3; p. 499
Main Author 内場光浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 30.06.2013
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ISSN1881-3011

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Summary:2012年6巻の総論で山本は, 産科的出血の病態は止血血栓形成に不可欠なフィブリノゲンが「枯渇」した病態であり, それ故フィブリノゲン製剤等を使用すべきとしている1). 確かに産科的出血に限らず, 大量出血時にはフィブリノゲンは低下する. また, フィブリノゲンが止血血栓形成には必要不可欠であることも明らかであり, その補正が止血に有効な症例も存在するであろう. しかし総説に記載してある様にフィブリノゲンは「枯渇」するほど低下するのであろうか. 辞書によると「枯渇」とは「物が尽きてなくなること」とある. しかし総論で提示してある症例の様に, フィブリノゲンは低下するが「枯渇」(数mg/dl以下まで低下)するわけではない. フィブリノゲンが真に「枯渇」し「尽きてなくなっている」状態としては, 先天性無フィブリノゲン血症が挙げられる2).
ISSN:1881-3011